昨季賞金ランキング3位の金谷拓実(25=Yogibo)が、開幕戦を制した。混戦を抜けだし、大会記録の通算23アンダー、261で優勝。昨年9月のフジサンケイクラシック以来となる通算6勝目を挙げた。

第2ラウンド(R)が降雨の影響で開始時間が大きく遅れたことで連日の日没サスペンデッド。この日も第3Rの残りと合わせ26ホールをこなす長丁場となったが、首位で迎えた最終Rは7バーディー、1ボギーの65をマークした。この勝利でツアー生涯獲得賞金3億円を突破。パリ五輪出場への意欲も口にした。

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最後の一打がボギーパットになったためか、金谷は優勝を決めた直後も淡々としていた。大会記録の通算23アンダーで開幕戦を制したが、喜び控えめに「ピンを狙うショットが安定していた。たくさんバーディーを取れて良かった」と静かに勝利をかみしめた。

連日の日没サスペンデッドで、2日連続の“約1・5ラウンド”。長丁場の戦いを強いられたが「仕事なので」と、さらりと受け止めた。前日は午後10時に就寝し、睡眠時間を確保。「しっかり準備して、自分らしくプレーするだけ」とコンディションを整え、集中力を高めた。

まずは午前7時過ぎに第3Rの残り8ホールをスタート。第3日終了時点でトップから4打差までに11人がひしめく混戦の中、4バーディーを奪って首位に立った。最終Rは勢いに乗って前半だけで5つ伸ばし、一気に抜け出した。最終スコアは2位と2打差も、危なげない内容で逃げ切り。支えたのはショット精度に加え、パッティングの安定感だった。先月からスタンス幅を「足をくっつけるくらいの意識」と表現するほど狭く変更。「グリーンのフィーリングやタッチが合いやすくなった」と効果は抜群だった。

視線は、今夏のパリ五輪を見据える。日本は出場2枠が見込まれる中、現在はランキング5番手。「優勝することで状況が大きく変わっていく。とにかく目の前の1試合1試合に全力を尽くしたい」。穏やかな口ぶりに、熱がこもった。【奥岡幹浩】

○…アマチュアながら、初日首位に立つなど上位争いを繰り広げた中野麟太朗(20=早大)は4位でフィニッシュした。全ラウンド60台と崩れなかったが「もどかしいゴルフが続いていた。大事な場面でパットが入らなかったのはプロとの差」と唇をかんだ。それでもプロに交じって優勝争いを演じたことは、今後の財産。文武両道の早大2年生は「またこういうツアーに出られたときは、成長した姿を見せたい」と誓った。

 

生源寺龍憲(ツアー初勝利ならずも2位と健闘)「開幕からいいゴルフができた。(同学年の金谷には)もちろん負けたくない気持ちはある。早く追いつきたい」