<女子ゴルフ:明治チョコレート杯>◇最終日◇13日◇北海道・札幌国際CC島松C(6518ヤード、パー72)◇賞金総額7000万円(優勝1260万円)

 不動裕理(31=フリー)がツアー通算44勝目を挙げて、女子ツアー初の生涯獲得賞金10億円を突破した。首位スタートから4バーディー、2ボギーの70で回り、通算9アンダーの207。2位の有村智恵(20)らを1打差で振り切った。国内勝利数で歴代4位の岡本綾子(57)に並び、獲得賞金でも大台に突入。今季ツアー初の複数回優勝で底力を示し、05年以来の賞金女王奪回を目指す。

 「不動の女王」がよみがえった。最終18番、1打差の藤田のバーディーパットが外れて優勝が決まっても、不動は淡々としていた。祝福の歓声に笑顔で応じる姿は、若手選手の涙のVシーンとは違って貫禄(かんろく)たっぷりだ。プロ選手の勲章となる獲得賞金の大台突破。その感想を聞かれても「いい時にプロになって、試合も増え出した時に勝ってるから」とさらりとかわした。

 6年連続賞金女王(00~05年)の底力を見せつけた。前半を終えて、7連続バーディーの有村に1打のリードを許したことをリーダーボードで確認し、気合を入れ直した。15番パー4ではラフから残り150ヤードの第2打を、8番アイアンでカップ横10センチにつけるスーパーショットで、後半2個目のバーディー奪取。17番ではカラーから「3パット」のボギーをたたいて同組の藤田、辛■周、有村との差が1打に縮まっても、動じなかった。

 3月のアコーディア・ゴルフレディスで今季初Vを飾りながら、その後はパットの不振で、10年ぶりとなる2週連続予選落ちの「屈辱」も味わった。復調に役立ったのは、一般ゴルファーでも使うパターマットだった。芝目を気にせず、ストロークだけに意識を集中できた。パットの感触を取り戻した先週は3位。逃げ切る形の今回の優勝を「久しぶりで頭が疲れた」と笑って振り返った。

 国内勝利数では歴代4位となる通算44勝、「世界のアヤコ」に並んだ。「(岡本さんは)海外でも活躍されて、若手も指導されているすごい方。私はまだ年下の人に面倒を見てもらってるぐらいですから、比較にならない」と話すのは謙虚さから。この日同組だった藤田に「尊敬している。一緒に回って楽しかった」と言わしめている。

 今季は優勝者が毎回異なる戦国模様だったが、これで元女王の不動が2勝目一番乗りだ。「感じを忘れないうちに、もう1回V争いをしたい」。06年に大山、07年は上田に奪われた賞金女王の座を取り戻す自信も、みなぎってきた。【佐藤智徳】※■は火へんに玄