女子シングルス準々決勝で、世界ランキング8位の平野美宇(エリートアカデミー)が、同4位でロンドン五輪銅メダルのフェン・ティアンウェイ(30=シンガポール)に4-0で快勝し、4強に進出した。3位決定戦がないため、この種目の日本勢では69年ミュンヘン大会で金の小和田敏子、銅の浜田美穂以来のメダルが確定した。

 日本女子がシングルスで48年閉じられていた世界選手権個人戦での表彰台の扉をついにこじ開けた。日本卓球協会が01年の世界選手権大阪大会での不振をきっかけに取り組んだ若年層からの強化が、大舞台で実を結んだ。

 当時の日本は両ハンドを使いこなす世界の技術の進化から遅れ、男子団体は13位。協会は低迷を打破するために小学生の代表チームを結成し、有望株を集めて合宿を実施するなど環境を整えた。

 合宿には保護者や指導者も呼んで最新技術を紹介。母親との二人三脚で卓球を学んだ石川、平野、伊藤らは10代前半から世界を転戦して経験を積んだ。男女で日本代表監督経験のある日本協会の前原正浩副会長は、日本選手が競技を始める年齢の早さを挙げ「早くから才能を見て可能性を把握し、どんどん上の(年齢の)クラスに入れる形になっている」と語る。

 幼少期から活躍して人気を博し、競技の裾野を広げた福原愛(ANA)の存在も大きい。前原氏は「愛ちゃんがお手本となり、卓球を早くやる人が増えた。指導者のスキルも上がった」と目を細める。

 世界選手権は団体戦で14年に女子が31年ぶりに準優勝、男子も16年に39年ぶりに決勝へ進んだ。五輪もロンドン大会で女子が団体銀メダルを取ると、昨年のリオは男女ともに団体の表彰台に上った。個人種目での快挙達成も、自然な流れだった。