10年バンクーバー五輪男子500メートル銅メダリスト加藤条治(32=博慈会)が35秒10の4位に入り、W杯代表の座を確実にした。もっとも本人は、まだ代表に決まっていないが、出場前提で2月の平昌五輪本番をピークに合わせる。35秒5前後を設定タイムにしていただけに「思ったより体が動いた。まあまあ良いレース」と納得の表情を浮かべた。

 4度目の五輪出場へ、背水の陣を敷く加藤が、ベテランの貫禄をみせた。3月に長年所属した日本電産サンキョーを退社。「新しい気持ちで自らの道を進みたい」と安定を捨て、オフから自分のスケートだけに専念する環境を自力で整えてきた。今季初戦。「(滑りは)まだまだ完成には遠い。(五輪代表選考会のある)12月までに滑りを固め、五輪本番で爆発させたい」と逆算して臨んだ。

 この日の最終カーブは相手コースまで大きく膨らんだが、フォームが定まってない現段階では想定内。そんな途上段階で、想定以上の好タイムが出たことに意義がある。

 「技術にゴールはない。どんどん向上したい」。日本短距離陣を10年以上背負ってきた32歳は、平常心で世界の頂点を狙っている。