フィギュアスケート男子で14年ソチ五輪金メダルの羽生結弦(22=ANA)が10日、右足関節外側靱帯(じんたい)損傷のためグランプリ(GP)シリーズNHK杯を欠場した。9日の練習で4回転ルッツを跳んだ際に転倒し、負傷。この日昼まで熟考した末、涙を流し、欠場を決断した。5連覇が懸かったGPファイナル(12月7日開幕、名古屋)出場は消えたが、全日本選手権(12月21日開幕、東京)と66年ぶりの連覇が懸かる平昌(ピョンチャン)五輪に向け、ここから復活の道を歩む。

  ◇  ◇  ◇

 羽生選手は、14年GP中国杯など、けがを抱えながら無理をして試合に出ることが過去にもあった。今回の欠場は苦渋の決断だっただろう。足に負担がかからないように、ジャンプの難度を下げて試合に臨んでもGPファイナル出場の可能性は十分あった。それでも欠場したのは、自身が思っていた以上に重傷だったからではと考えられる。

 右足首のけがは多くの影響が出る。6種類すべてのジャンプは右足着氷のため、着氷のたびに痛みが生じる。また、足首が腫れているので硬いスケート靴を履くのも困難となる。肩の脱臼と同様、足首をひねるのは癖になりやすい。再発しないかも心配だ。

 全治は不明だが、重度の捻挫なら1~2週間の安静は必要だ。今は全日本選手権に向けて治すことに専念し、4回転時代で疲労の蓄積した体を少しでも休めてもらいたい。(10年バンクーバー五輪代表、11年世界選手権銀メダリスト)