男子世界ランク3位の国枝慎吾(34=ユニクロ)が、同2位のグスタボ・フェルナンデス(24=アルゼンチン)を7-5、5-7、6-1のフルセットで破って決勝進出を決めた。

 派手なガッツポーズが飛び出した。最終セット第7ゲーム。フェルナンデスのショットが大きくベースラインを越えると、国枝は客席に向かって力強く両拳を突き上げ、表情を緩めた。「タフなラリーが続きましたが、相手のパワーに打ち負けないように試合に入った。作戦がうまくいきました」。

 第1セットは中盤以降に2度サービスを破って先行したが、第2セットは3つのブレークに対して4つのブレークを許して失った。トイレ休憩でリフレッシュして臨んだ最終セットで一気にギアアップ。鋭いスライスサーブで相手の体勢を崩し、フォアのトップスピン、バックのスライスをコートの隅に深く散らしてポイントを挙げ、ミスを誘いって2つのブレークで勝負を決めた。

 フェルナンデスとは23度目の対戦。17勝5敗と大きく勝ち越しているが、右肘痛の低迷していた16、17年の2年間は、昨年のこの大会2回戦を含めて4連敗を喫していた。パワーに押し切られる展開が続いたが、今年に入って2連勝という結果が、国枝の復調の証明でもある。「フォアが切れている。バックハンドもこの大会で今日が一番よかった」と話す表情も明るい。

 3年ぶり9回目の優勝と天皇杯をかけ、19日の決勝ではリオデジャネイロ・パラリンピック金メダリストで昨年の王者、ゴードン・リード(26=英国)と対戦する。「ゴードンもこのところ調子を落としていましたが、彼の実力はよく分かっている。ベストを尽くして勝ちにいきます」。国枝が力強く優勝を宣言した。