日本ボクシング連盟の不正疑惑で会長を辞任した山根明氏(78)が、8日に大阪市内で辞任表明をした会見に同席した西口拓人弁護士は、正式には、代理人を引き受けていなかったことが9日、分かった。

 この日夕、大阪市内の所属事務所で取材に応じた西口弁護士は「あの場にいる付き添いだった。彼(山根氏)の責任負う立場にはなかった」と、明確な立場を明らかにした。

 西口氏によると、3時間に及ぶ連盟の理事会があった会見前日の深夜、日本ボクシング連盟の関係者から電話で「翌日、記者会見を正午からやる」と連絡があったといい、会見後に代理人就任への話し合いの場を持ちたいと言われたという。

 西口氏はその際「記者会見(の日程)を(先に)伸ばすべき」と言及したものの、関係者は「後の予定との関係で、必ずその日にやりたい」と強く望み、了解したという。

 だが、翌朝になって、さらに驚くべき事態があったという。会見当日の午前10時ごろ、関係者から今度は「(会見の)場所がない、ホテルも断られた」と、会見場の確保を求められた。大阪弁護士会に所属する西口氏は、同弁護士会館(大阪市北区)を紹介。使用可能かを交渉中に、連盟は場所と時間をホームページ上で発表してしまうハプニングもあった。

 西口氏は、会見に同席する予定ではなかったが、同弁護士会側並びに同副会長の要求で、会見に同席。会見後、山根氏らと話し合い、「(代理人を)受任の方向も考えた」ものの、会見翌日だったこの日午前、自身の顧客から反響が大きかったこともあり、すでにある職務との兼ね合いを考え、代理人依頼の申し出を断ったという。

 この日正午前、山根氏サイドに電話で受任しない意向を伝えると、山根氏側から「分かりました」と返答があったといい、会見同席翌日に代理人辞退へいたった前代未聞の流れについて説明した。