男子で東京学館新潟が4年ぶり12度目の優勝を決めた。新発田中央に3-0。エースの川村竜也(3年)を中心にしたパワフルな攻撃で圧倒し、3年連続準優勝だった昨年までの屈辱を晴らした。チームを36年間率い、来春で勇退する石山雅一監督(60)に最後の全国舞台をプレゼントした。

最後はエースが決めた。東京学館新潟・川村が中央から豪快に右腕を振り抜く。相手のブロックを破ってコートに着地すると雄たけびを上げた。そこにコート、ベンチの選手たちの歓声が重なった。

マッチポイントになってから決めきれず、2点を許した。それでもチームメートは川村にボールを集め続けた。「上げてほしいと思っていたのでうれしかった。でも、力んでしまって」。苦笑いの奥には達成感があった。

1年時からレギュラー。昨秋の新チーム結成時に主将に就任した。誰もが認める大黒柱。ただ、「勝てなくて悔しかった」。過去2年間は決勝で敗れ、入学前から続くあと1歩の壁を突破できずにいた。

自身の殻を破るために取り組んだのが体力作りだった。練習後、毎日30分、腕立て伏せに、スクワットと地味なトレーニングを欠かさずに行った。その成果が出て、体重は入学当初の66キロから72キロにアップ。中之口中時代、県選抜でならした強打は、高校最高学年になってチームを全国に導く武器になった。

そんな川村を石山監督は「川村がすべてと言っていいチーム。100点です」と絶賛した。来年3月いっぱいで、創部以来36年間務めた監督の座を、教え子でもある渡辺健太郎コーチ(34)に譲る。「余計なプレッシャーをかけたくない」と、試合前は選手に明かさず、試合後の慰労会で告げた。「いい思いをさせてもらった」と目頭を熱くした。

その起爆剤がなくても、チームは一丸だった。入学時から3人だけだった川村、小林由暉、渡辺玲央の3年生が、練習時以外でもチームをまとめた。「この3年生と一緒に全国に行けるのがうれしい」と石山監督。12度目の春高は名将の最後の全国舞台。「最低でも2勝はしたい」。川村は目標を掲げた。【斎藤慎一郎】