リーグ2位のHondaが、今季の大躍進を象徴するチーム力で、ビックカメラ高崎(同1位)に勝利し、悲願の初優勝に王手をかけた。

1-1の同点で迎えた6回、日本代表の浜村に対し、連打で無死二、三塁としたが、3、4番が凡退。無得点なら流れを失う場面で「センター返しを狙っていた」という5番佐野由貴美外野手(29)の打球は二遊間へ。執念のヘッドスライディングでセーフとなり、2人が生還し勝ち越した。試合を決めた佐野は「初回からバッテリーが流れを作ってくれた。3、4番アウトになったが、自分が決めてやろうと思った」と振り返った。鈴木幸司監督(46)は「がっぷり四つの展開の中、しぶとく打ってくれた」と笑みを浮かべた。

投げては常磐、フォード、カーダの3投手が、強力打線を本塁打による1点に抑え、逃げ切った。決勝トーナメント進出が決まった1カ月前から、25歳の誕生日である16日の先発を言われていたという常磐は「ちょっとでも甘いと打たれるのでコントロールを重視した。すごく緊張したけど(無失点で)役割は果たせたかな」とホッとした表情を見せた。

昨年はリーグ10位。今季のレギュラーもほとんど変わらないが、シーズン前から個々が自分たちのプレーを見つめ直し、準備してきた。リーグでは大躍進の2位。一気に初優勝が見えてきた。鈴木監督は「それぞれが自覚を持ってやってきた結果がチーム力となってビックカメラ高崎を倒すことができた」。6回の好機では選手を信じ「魅力あるソフトボールを見せる」というコンセプトを貫き、強攻策で決勝点を奪った。

日本代表「SOFT JAPAN」8人を擁する優勝候補の相手に対し、代表選手0人のHondaがチーム力で勝利した。17日の決勝は、3位決定戦で勝ち上がってきたチームと戦うため、再びビックカメラ高崎と対戦の可能性もある。森山主将は「自分たちに怖いものはない。楽しんでやれたら優勝できる」と言い切った。チームスローガンは選手自ら考えた「夢を力にHonda旋風巻き起こす」。決勝の舞台でも大躍進のシーズン通りの全員野球で初優勝をつかみ取る。【松熊洋介】