3大会ぶり出場の光泉(滋賀)が、電光石火のスピードラグビーで本郷(東京第2)を下した。前半こそ12-14とビハインドで折り返したが、後半早々にスイッチが入った。自陣でパスを受けたWTB西村仁(3年)は、ディフェンスをかわして50メートル超のロングゲインで敵陣深く切り込む。これが効いて、貴重な逆転トライにつなげた。

西村は後半中盤も長駆で大前進に成功。50メートル走6秒0の健脚が光り、攻撃にリズムが生まれた。薬師寺利弥監督(45)は「BKの展開の練習をしてきました。それが試合でできた。最後まで走り続けるラグビーをできた」と胸を張る。疲労で足が止まった敵の防御陣と対照的に韋駄天(いだてん)軍団の独壇場だった。

指揮官はチームの強化方針を「スピード、パワー、あとはスペース」と言う。攻撃中も絶えず相手布陣をチェック。スキを見逃さなかった。西村は「外に展開するボール運びはああいうシチュエーションを作れると分析して分かっていた。うまくいった」と説明。後半15分にラックから飛び出してトライしたフランカー森大起主将(3年)も「前を見て空いていた。『行ったれ!』と思って」と話す。花園準優勝経験がある本郷相手に頭脳戦も制した。

選手が持つ、しおりの表紙には「BIG IMPACT」と書かれている。前半19分に50メートル独走トライを決めたCTB三宅颯馬(3年)は言う。「自分たちの代で光泉の歴史を塗り替えたい。勝ち切れたことをつなぐ」。次戦は30日の秋田中央戦だ。花園に衝撃を。出場9大会目で初の「年越し」を狙う。【酒井俊作】