尾道フィフティーンのもとに赤身の牛肉が届いたのは1週間前だった。広島・竹原市で牧場を営む藤原裕次郎さん(45)は丹精込めて育てた広島牛を約5キロ、花園の大舞台に立つラガーマンの壮行会に差し入れした。「肉の甘み、うまみ…。甘みには、こだわりが強いですね」。水や飼料にこだわっているのだという。
藤原牧場は岡山・笠岡市にもあり、合計で約1000頭の牛を飼育する。この日は妻の優子さん(45)と花園で尾道の初戦を応援した。後半20分。息子でFWの大志(3年)が出てきた。必死にボールを追った。大志は「勝っていたのでどれだけアピールするか。いままで支えてくれた方に、元気や感動を与えられるよう、僕なりに一生懸命、プレーしました」と話した。
1学年下の大志の弟、大和もチームメートだ。幼いころは牛とともに過ごした。大志は言う。「あまりウチの肉を食べたことはないのですが、めっちゃおいしいです」。牧場にはラグビーボールもあった。2人に手ほどきしたのは実は裕次郎さんだ。
竹原高で花園を目指したという。裕次郎さんの目の前には、聖地のフィールドが広がっていた。「私はあの土を踏めませんでした。あの子がここの土を踏んでくれたら…。涙が出るかもしれません」。30日の京都成章戦はついにメイングラウンドだ。親と子がつむぐ夢は続く。【酒井俊作】


