高校日本代表候補8人を擁す東福岡が100-14で松山聖陵(愛媛)に大勝した。WTBの松岡大河や高校日本代表候補の高本とむ(ともに3年)ら、BK3人がハットトリックするなど自慢の機動力がさく裂。16トライ、10ゴールで3大会ぶり7度目の優勝へ爆勝発進した。Bシード佐賀工も97-0で初戦突破。だが、大分東明、長崎北陽台は完敗した。

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東福岡のスピードスターが松山聖陵を切り裂いた。大阪から優勝のために進学し、誰よりも「ヒガシ」を愛す高本と松岡をはじめ、右肩脱臼骨折から7カ月ぶりに復帰した主将のCTB広瀬雄也(3年)の3人がハットトリックだ。

松岡は、2日前の練習でスパイクが顔面に当たり、口の中を10針、外を5針縫うけがを負った。試合中は恐怖もあったが「1回キャリーしたら、怖くなくなった」。50メートル6秒0、小学時代に空手で鍛えたフィジカルで奮戦。広瀬主将は「両ウイングがトライし勝負してくれた」と、“ダブル・フェラーリ”に感謝した。

今年のチームは、どん底から不死鳥のごとくはい上がった。春の全国選抜大会準々決勝で優勝した桐蔭学園に21-67で大敗。甚大なショックから立ち直れず、常勝軍団が一時は空中分解の危機に。夏合宿の桐蔭学園や大阪桐蔭戦でも歯が立たず、浮上のきっかけも、なかなかつかめなかった。

そして9月、天理との定期戦に大敗。逆にこれが転機となった。翌日のミーティング。危機感を募らせた松岡が号泣しながら「何のために東福岡に入ったんだ」。チームにカツを入れ、初心を皆に語り、全員の気持ちが切り替わったという。窮状を見かね、母校を訪れた日本代表フランカー布巻峻介(27)も「東福岡はそれでいいのか」と鼓舞。完全に目が覚め、たくましさは増した。

ただこの日、快勝の中でも、キックで裏を取られ2トライを奪われた。ミスも目立ち、“100点満点”とはいかず。その反省を踏まえ、藤田雄一郎監督(47)は「ミスをしないことが一番の戦術。次は決戦になる」と言い、3回戦のBシード国学院栃木戦を見すえる。「ONE TEAM」。一丸となり、次の関門に挑む。【菊川光一】