ノーシードの尾道(広島)が、Aシード京都成章を追い詰めた。平均体重99・6キロという相手の大型FWより10・3キロも軽い、平均89・3キロのFW陣がスクラム戦で圧倒的優位に立った。

前半3分、ゴール前スクラムから圧力をかけ、プロップ岩井陸(3年)の先制トライにつなげた。相手ボールスクラムで反則(コラプシング)も誘った。金星こそ逃したが、前半を14-10で折り返した。

田中春助監督(31)は「スクラムは1年間、強化してきたもの。楽しかったですね」と笑い、フランカー梁川賢吉主将(3年)は「8人が“エイトマン”として1枚にまとまって、低さで勝負する。スクラムには自信がありました」と満足そうだ。

高校ラグビーでは安全面を考慮し、スクラムで押せる距離は1・5メートルまでと決まっている。もし、大学、トップリーグのように制限なく押せるなら、勝敗の行方は全くわからなかった。田中監督は「それはルールです」と苦笑いし「高校でスクラムに時間を割くのはもったいない、という声もありますが、選手には先もありますし」と話す。

夏の7人制大会で尾道は京都成章に勝った。15人制と違うものの、相手が“スロースターター”であると確信。先制パンチを狙うゲームプランだった。梁川主将は「ゲームの入りはうまくいったけど、やっぱり成章は強いです。あれだけ(スクラムで)押しても足が止まらんか、と。個々のスキルも僕らより上手で、自分たちの自信がある部分を出し切れませんでした」。そう言いながら、表情は終始明るかった。