前回大会優勝のBシード大阪桐蔭(大阪第1)が茗渓学園(茨城)に55-12で完勝発進だ。NO8奥井章仁主将(3年)が70メートル独走トライなど2トライを決めた。

2年時に“飛び級”で高校日本代表となった怪物FWが進化を見せ、戦後6校目の大会連覇へチームを引っ張る。御所実(奈良)京都成章(京都)桐蔭学園(神奈川)のAシードを含むシード13校すべてが、元日の3回戦に進出した。

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SH萩原からパスを受け、NO8奥井は自陣から走った。「相手DFが僕に詰めてくる傾向にあったんで」。マークのギャップをついて、抜け出した。正面からのタックルは跳ね飛ばした。すがる相手はハンドオフではらう。最後はステップを切り、ディフェンダー2人を引きずり、インゴールに倒れ込んだ。

後半4分、70メートル独走トライ。「あんまり走るキャラじゃない。コンタクトして、ボールを渡すタイプですから」。快速WTBばりの長距離ランに照れたが、自信はあった。「1年前なら息が上がったでしょうけど、最初に抜けた瞬間“いける”と思いました」。前回大会、2年で高校日本代表になり、今春、ウェールズ遠征した怪物は進化した。

新チームになり、フランカーからNO8へ。同じバックロー(FWでスクラムの3列目)でも、今まで以上にボールを持って走る役目が増える。「体を変えました」。106キロは重すぎた。7月のU20日本代表ブラジル遠征から戻り、約3カ月は脂ものを断った。母千春さんに頼み、口にするのは冷しゃぶ、蒸し鶏、野菜料理etc。「完全に断つと頭がパンパンになって変になるから」と、好物の唐揚げを3度だけおねだりしたが、基本は我慢。102キロの“走る体”が完成した。

前半終了間際にトライ2本を奪われ「悪くなった雰囲気を変えられた。プレーで引っ張りたかったですから」。大会2連覇へ、まず1勝。唐揚げは1月7日の決勝後、腹いっぱい食べるつもりでいる。【加藤裕一】

◆奥井章仁(おくい・あきと) 2001年(平13)9月17日、大阪・枚方市生まれ。7歳から枚方ラグビースクールに。樟葉中を経て、大阪桐蔭で1年からレギュラー。7月のU20日本代表ブラジル遠征にも参加。好きなタレントは千鳥。178センチ、102キロ。