2大会ぶり19回目出場の東海大大阪仰星が「黒い壁」に阻まれた。御所実(奈良)に完封負けした。

花園では必ずトライを取ってきたが、この試合で史上初めてノートライに終わった。試合後、湯浅大智監督(38)は「うちのラグビーは基本的にシンプル。(御所実は)スキルも高かったが、それ以上に15人全員の守りが整備されていた。1つ1つのプレーの精度が高く、ここぞのポイントで、自分たちの力が出せなかった。ただ、仰星の選手たちは、よくやったと思う」と振り返った。

2大会前には1年生フルバックとして「日本一」に貢献したFB谷口宜顕(3年)は「準備してきた攻撃を出し切ったけど、得点が取れなかった。自分たちの力が通用しなかったのが、明確にわかった。1年間かけて準備してきたけど、それでも準備不足だということ。コンタクトの強さ、ボールへのアプローチが速かった」と語った。

谷口は、2大会前に見た「日本一の景色」を後輩たちにも見せたかったという。前回大会、チームは花園出場ならず「その悔しさは自分が一番知っている」と涙した。「今でも憧れの場所」という花園での思い出は一変した。

「昨日までは日本一の景色。でも、変わりました。今日という日は死ぬまで忘れられない」。

卒業後は東海大への進学が決まっている。

「3年間で1度も練習の手を抜いたことはない。もう1回、絶対にたどり着くんだと日本一をイメージして生きてきた。ジャージーを着られるのは25人だけ。スタンドで見ていた選手たちにも、その思いを伝えたい」

ロッカールームで流した涙はぬぐった。