全国高校ラグビー大会は5日、大阪・花園ラグビー場で準決勝2試合を行う。Aシード御所実(奈良)と対戦するBシード常翔学園(大阪第2)は4日、大阪市内の同校グラウンドで調整した。1年生司令塔のSO仲間航太は決戦を前に「めっちゃ楽しみです」と無邪気に笑った。

7大会ぶりの準決勝が、待ち遠しい。「先発出場なんて、全く想像してなかったです」。まだ1年生だが、生粋の“常翔チルドレン”には、運命だ。

常翔学園でラグビーをする-。そう決めたのが13年1月7日、7大会前の御所実との決勝戦。当時9歳の仲間はスタンドで常翔学園5度目の優勝を見た。「ジャージーも何もかもかっこよくて」。茨田北中で進路を決めるとき、大阪ラグビースクールの2年先輩で御所実・津村主将に「御所に来いよ」と誘われ、即座に「常翔に行きます」と断った。常翔学園の準決勝進出はそれ以来、相手は御所実。心が躍らぬはずがない。

優勝5度、出場38度目という高校ラグビー界有数の伝統を誇るチームで、1年生に司令塔を任せる。野上友一監督(61)はその理由を「まず安定感です。それにSOとしての資質というか。ずっと“常翔に来る”と言ってくれて(中学卒業前だった)1年前の今頃はもう練習に来てましたからね」と語る。

仲間には御所実戦のイメージはもうできている。「ディフェンスがすごく厳しい。攻撃のテンポを上げて、FWを使って。簡単には崩せない。我慢の勝負になると思います」。準決勝を越え、今度は自分が決勝で-。16歳が、夢のシナリオに突き進む。