6度目の高校日本一を目指した常翔学園(大阪第2)は、4強で姿を消した。

浮き足だった前半にミスも出て3トライを許し19ー0とリードを広げられた。後半に優位に立ったスクラムを起点にフランカー原透和(3年)がトライ。反撃に出たが、遅かった。

校名が変更になる前の大工大時代から昭和、平成、令和とチームを支え続ける野上監督は、敗退してもずっと笑顔だった。優しいまなざしで部員たちを見つめながら「ベスト8までは勢いで行ける。そこから1つ、2つがなかなかいけないんですわ。でも、力を出し切ってくれた。楽しかったですわ。完全に相手が強かっただけ。うちは今日が精いっぱい。よう頑張ったと(部員に)言ってやりたい」と話した。

初戦から全試合で1年生SOの仲間航太を起用。伝統校にしては、勇気ある決断だった。前半には自陣で落球したところを拾われ、そのまま御所実のトライにつながった。ミスが続いても交代せず、全幅の信頼を寄せて使い続けた。野上監督は1年生SOにミスが出たことを聞かれると「ハッ、ハッ、ハ~ッ」と豪快に笑った。そして「あれが糧になるかどうかは自分次第やけど、ビックリするわ。そんなに、うまいこといきませんわ」。責めることもせず、わが子を見守るかのように笑い飛ばした。

大阪勢としては、5大会ぶりに決勝進出を逃した。常翔学園も12年度の優勝が最後。日本一は簡単な道のりではないが、野上監督は最後にこう言った。

「今まで、しんどいことや、辛いことをたくさんさせてきた。でも『(後の人生で)あの時(高校時代)のことを考えたら、こんなん大丈夫や』と思えるようにやってきたんです。常翔は確実に強くなってますわ。胸を張って、花園から去りたいと思います」

名門復活へ。また1からチームを作る。