全国高校ラグビー大会は7日、大阪・花園ラグビー場で決勝が行われる。

4度目の決勝で初優勝を目指す御所実(奈良)は6日、奈良・御所市内の同校で約2時間の最終調整。昨春の全国選抜大会決勝で19-29と敗れた桐蔭学園(神奈川)とのAシード対決も、花園では過去2戦2勝と好相性だ。決勝戦には、始業式終わりの全校生徒がバス11台で駆けつける。控え部員らは部歌「御高節」を練習。“4度目の正直”で就任31年目の竹田寛行監督(59)と喜びを分かち合う。

   ◇   ◇   ◇

田畑に囲まれた静かな学校に、歌声が響いた。桐蔭学園戦に向けた最終調整。その最中に御所実の控え部員たちは肩を組み合った。

♪うさぎと亀の競走と 夢砕かれたこともある いつかつかむぞ 栄光の旗 御所高ラグビー魂焦がす♪

歌が生まれたのは95年度の花園初出場時だった。89年に就任した竹田監督は部員2人から始動。間近で見ていた同校数学教師の坂田充司さんが、歩みを詞にしたためた。90年には頸椎(けいつい)損傷で2年生部員を亡くし、県内では純白ジャージーを着た花園優勝6度の天理に屈した。2番には「やめたい気持ち亡き友と 空を見上げて語り合う 高くそびえる白い壁 跳ね返されては立ち上がる」とある。努力が結実するのは3番の最終節だ。

♪そんな俺たち日本一 そんな俺たち日本一♪

普段は歌う機会の少ない御高節も、大会中はバスや宿舎で歌の練習に励んだ。準決勝の常翔学園戦では入場時に控え部員が熱唱し、SO高居海靖(3年)は「しっかり聞こえていました」。過去3度の決勝はいずれも敗れ去っているが、女子選手で主務の中留夢菜(3年)は「優勝して歌います!」と言い切った。

武器は今大会4戦10失点の堅守。それでも竹田監督は「1人1人の動作を早くしないと、人数が足りなくなる」と相手を上に位置づける。1度は他校に進み、退学後に1年遅れで入学したプロップ島田彪雅(ひゅうが、3年)は「竹田先生を胴上げしたいです」と誓った。1歩ずつ進んできた「亀」が、心ひとつに頂点をつかみ取る。【松本航】