4月に創部する新潟食料農業大ラグビー部の谷崎重幸監督(61)がインタビューに答え「ゼロからのスタート」でラグビーを通した人間教育と新潟のラグビー発展に尽力する決意を語った。

創部に向け、谷崎監督は手づくりで準備を進めてきた。関東大学リーグに参入予定で、承認されれば5部からのスタートが予想される。新天地で踏み出す1歩を楽しみにしている。

-現在の状況は

本当の準備の段階ですね。用具の調達をしたり、自前のグラウンドがないので胎内市内のグラウンドや、体育館を借りるなど。

-1期生の人数は

今のところ17人です。昨夏から県内外の高校や、花園の全国大会にも足を運びました。集まった選手は全員、自分からやりたいと言ってきてくれた。花園の常連校出身というわけではないです。県内の選手は1人で、ほかには合同チームでラグビーをやっていた選手も。でも、そういう選手たちは自主的に「やりたい、何ができるか」と考えるんです。

-4月からどのような指導を

大学1年生というより、“高校4年生”です。選手は彼らしかいないので、自分たちでやるしかない。その中でどう創造していくか。私も“高校4年生”は指導したことがないので、貴重な経験です(笑い)。

-創部から監督を引き受けた要因は

建学の精神「自由、多様、創造」が私の考えと一致すると感じました。ただ強くしたいというのではなく、ラグビーを通した人間育成、「文武一道」というところもですね。「ゼロからのスタート」ですが、ゼロはマイナスがない。

-指導方針の土台は東福岡時代のような自主性

東福岡の監督時代に01~03年までニュージーランドに留学しました。そこで180度、考え方が変わりました。ニュージーランドでは平等に勝つチャンスを与える。学年別でチームをつくり、その中で実力別のクラスを設けるなど。同じような力のチーム同士で毎週試合がある。18歳以下の指導で絶対に言ってはいけないのが「NOとDON’T」。否定しない。正解を求めるのではなく、答えをどう導くかを大切にする。それまでの私は押しつけ。まったく反対でした。

-目指すチーム像は

無形の形というか、水のように、です。「今年はこういう特徴の選手がそろったから、こういうチームになるぞ」と。選手個々の特性を引き出してチームをつくりたい。そして、社会に出て、ここで学んだことを発揮できる人材を育てたいです。個人的には子どものスクールからラグビーを教え、将来的には新潟で育った選手が多く入ってくるようにしたいです。【聞き手・構成 斎藤慎一郎】

◆谷崎重幸(たにざき・しげゆき)1958年(昭33)4月17日生まれ、三重県出身。志摩高から法大。現役時代はFB、SO。82年から12年3月まで東福岡監督。この間、全国高校ラグビーで優勝4回。09~11年まで3年連続全国3冠(選抜、国体、花園)を達成した。13~16年まで法大監督。14年、文部科学大臣優秀教員として表彰された。

◆新潟食料農業大学 2018年開学。食料産業学部、食料産業学科で現在、2学年250人。2年からの選択コースにはアグリコース、フードコース、ビジネスコースの3コースがある。農場から食卓までをカバーする「食」の総合大学を目指す。指定強化部は、自転車競技部が開学と同時に創部。20年4月にラグビー部とともに柔道部が創部。胎内キャンパス(胎内市平根台2416)と新潟キャンパス(新潟市北区島見町490)がある。