日本競泳界の大器が、新潟医療福祉大で新たなスタートを切った。大内紗雪(1年=神奈川・日大藤沢卒)は、全国高校総体の女子自由形50、100メートルを2連覇。リレーの3種目を含め5冠を獲得した。高1で出場した日本選手権50メートル自由形(17年)で2位となったスプリンターは、新天地でさらに飛躍する。

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大内のダイナミックなストロークが水を捉えると、166センチのからだがグイッと前に進んだ。フルパワーでなくても、持ち前の力強い大きなフォームの推進力は十分だ。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で水泳部は4月3日に活動停止、5月26日に練習を再開した。大内は最大の目標である24年パリオリンピック(五輪)の表彰台に向け奮闘している。「下山(好充)監督からは『パリ五輪でメダルを取らせる』と言われている」。そう話した大内は何度も「日の丸」をつけている。自己ベストをマークしたのは、いずれも国際大会。16年に行われたアジア水泳(東京・辰巳=4位)と、銅メダルを獲得した17年世界ジュニア(米国・インディアナポリス)で2回、50メートルの自己ベスト25秒07をマーク。100メートルのベスト54秒91をマークしたのも17年世界ジュニア(6位)だった。下山監督は「精神的に動じない」と大舞台で力を出し切る精神面の強さに期待を寄せる。

もっとも、ここ2年は自己ベストを更新できていない。新たな環境で体力と技術を養い、東京五輪も視野に入れながら4年後のパリでその能力を最大限に発揮するつもりだ。下山監督は「ポテンシャルはあるが、急がない。まず1年間、体作りに費やしたい」と語る。大内も「100メートルは苦手意識がある。ターンすると泳ぎが崩れる」と認識しており、大学の4年間で体力と技術の向上を図る。

ダイナミックな泳ぎは、1学年上の池江璃花子(19)の影響を受けた。中1の時に、全日本中学(全中)で池江の泳ぎを初めて観戦。その後、2年連続で全中の50、100メートル自由形の2冠を獲得し頭角を現した。17年の日本選手権50メートルでは池江に次いで2位となりトップスイマー入りを果たした。「東京(五輪)は自信がないけれど、自信はこれからつける」。大内は泳ぎのギアを大学4年間で上げていく。【涌井幹雄】

◆大内紗雪(おおうち・さゆき)2002年(平14)1月5日生まれ。神奈川県出身。小3から競泳を始める。19年全国高校総体では50、100メートル自由形、400、800メートルリレー、400メートルメドレーリレーの5冠獲得。19年国体・女子少年A50メートル自由形優勝。17年ジャパンオープン50メートル自由形優勝ほか。166センチ、65キロ。血液型O。