秋田北の新体操部3年生3人は、幼少期から続けてきた競技で大きく成長した姿を披露した。船川千咲、虻川早莉、高橋佳希で切磋琢磨(せっさたくま)し、今年3月の全国選抜大会(兵庫)、8月の全国総体(群馬)での表彰台を狙っていたが新型コロナウイルス感染拡大により中止。正月に誓い合った「自分たちの限界を突破する」の言葉を再確認しあい、大会がなくても自分たち磨きに集中してきた。代替として用意された先月26日に秋田市内での演技会が集大成に。観戦した保護者や関係者から大きな拍手を浴びた。

船川は柔軟な体と、しなやかな長い手足でバランスをとり、長いリボンの弧を描く。秋田女王だった母の勧めで、保育園年中から始めた新体操。計14年間の節目を飾る舞台は中止になったが「高校まで3人で一緒に出来た。つらいことも多かったけれど、2人がいたから頑張ってこられた」。仲間へ感謝の言葉を発すると、涙があふれた。

1年時の全国選抜大会で4位となり、最終学年での選抜、総体の3位以内を目指して厳しい練習も乗り越えてきた。正月には3人で集まり「自分たちの限界を突破する」と目標を掲げた。「今までは練習の中で『もう無理』とか限界を決めてしまっていた。赤坂(芳子)先生から与えられたことだけでなく、自分で考えて行動する力もついてきた中での中止は悔しい。でも、大会じゃなくても、その目標は変わらない」。礼儀、あいさつ、実践力、協調性、多くのことを新体操から学んで、成長した。赤坂監督も「ジュニア時代に個人で成績が良くなくても、結果が出ることを示してくれたのが今の3年生。後輩もその姿を見てきた」と過程にも賛辞を贈った。

7月26日にはCNAアリーナ★あきたで演技会が開催され、保護者やジュニア選手、関係者らを前に磨いてきた演技を披露した。船川は「完璧に出来た喜びも大きいので、私は団体が好き。区切りとして、みんなで作り上げた演技をしたい。やってきたすべてを出して、最後は笑って終わりたい」と集大成として臨み、同監督からも「最高の演技」とたたえられた。

18年の福井国体で補欠となった時に感じたのは、支える人の大切さ。卒業後は大学に進学し、競技を続けながらスポーツトレーナーへの夢も抱く。限界突破の道のりは、これからも続いていく。【鎌田直秀】