4大大会のシングルスで、史上初めて実現した日本選手同士の決勝は、世界2位の上地結衣(26=三井住友銀行)が制し、全仏2年ぶり4度目の優勝を達成した。4大大会初の決勝に進んだ同10位の大谷桃子(25=かんぽ生命)に6-2、6-1でストレート勝ち。今季は全豪に次ぐ4大大会2勝目で、年間複数の4大大会優勝は17年に3冠を達成して以来3年ぶりとなった。

上地の元世界女王、第一人者の貫禄だった。大谷が4大大会わずか2戦目に対し、上地は26大会目。11年には日本女子初の世界1位にもなった。「(4大大会出場)2回目で、まだ優勝させるわけには行かない」。準決勝で同1位のデフロートを破った大谷の勢いをしっかり受け止め、安定したショットで跳ね返した。

意地だった。「私も、それなりの努力をしてきている」。そして、「そう簡単に取らせない」と、自身が壁になることで、世界の厳しさを見せつけた。しかし、それも、上地流の後輩への愛情だった。

表彰式の優勝スピーチで「まだ日本選手同士で決勝を戦ったなんて信じられない」。一番、大谷の決勝進出を喜んでいたのは上地だった。だから、来年延期になった東京パラリンピックで「2人で決勝を戦いたい」と、大谷にエールを送った。金メダルを、日本女子同士で争う決勝も夢ではなくなった。

 

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