全国高校柔道選手権の県予選が16日、新潟市鳥屋野総合体育館で開かれる。全国選手権(3月=日本武道館)は団体戦が中止となったため、今回は男女個人5階級で熱闘を繰り広げる。昨年11月のBSN杯県高校柔道大会個人90キロ級で2連覇した川田丈尋初段(開志国際2年)が、並み居る100キロ超の大型選手に交じり、無差別級で代表の座を狙う。

川田の「敵」は他校にいない。ライバルは、学校で一緒に練習するチームメートだ。開志国際は昨年11月のBSN杯で90、100、100キロ超級の重量3階級を独占した。現92キロの“軽量”県チャンプは、そびえ立つ壁を打ち崩し、無差別級の頂点に立つつもりだ。BSN杯無差別級で優勝したモンゴル人留学生のエンフ・ボルト(2年)は200センチ、135キロで身長差は30センチ。普段の練習では懐に飛び込んでの背負い投げを試している。「まだ、十分ではないけれど、大きな選手には担ぎ技が必要になる」と話す川田のモットーは「強気で前に出る」だ。

大倉太監督(52)は川田を「運動能力が高い」と評価する。持ち技は豊富で内股をはじめ、大外刈り、大内刈り、小外刈り、支え釣り込み足。足技を組み合わせて相手を崩し、隙を突いて仕留める。白根第一中時代は全国中学大会81キロ級で3回戦(16強)進出。昨年は団体戦で出場権を得ていた全国選手権、全国総体(インターハイ)、国体がすべて中止になった。初の全国出場へ、個人無差別級にかける。

春先は1カ月間の休校などで出遅れたが、体を作り直した。寮生の川田は自粛期間中は新潟市南区の実家に戻って走り込み。学校再開後の6月からは筋トレ、ロープ登りで筋力アップを図った。感染が再拡大している新型コロナウイルス防止策も入念で、川田を含む柔道部の寮生37人は年末年始も寮にとどまり、移動を避けた。6日から大会当日までは、胎内市内の旅館を貸し切りにして余計な接触を排除している。「寮に残ったときは、保護者の方々が総出でみんなの食事を作ってくれた。感謝している」。その思いも畳の上にぶつける。【涌井幹雄】

◆川田丈尋(かわた・じょうじん)2003年(平15)5月4日、新潟市南区生まれ。白根第一中。柔道は白根小1年から白根柔道連盟鳳雛塾で開始。小5で全国少年柔道大会団体戦で先鋒(せんぽう)として3位。18年の新潟市南区・優秀競技者賞受賞。170センチ、92キロ。