北信越学生柔道体重別選手権(27、28日=石川)の個人60キロ級で、井上創太(新潟食料農大2年)が連覇に挑む。中学、高校を通じて全国大会とは無縁だった伸び盛り。左右自在の変則的な組み手で、北信越チャンピオンの座を連続でもぎ取りにいく。

右組み手の井上は、一本背負いを仕掛ける時だけ左に組み替える。大学から本格的に練習してきたスタイルだ。星野力監督(53)の「自分の柔道を研究して、プロデュースする」という方針に沿った取り組み。探求心は旺盛で、練習相手がどんな組み手をされると嫌なのか、リサーチしながら試してもきた。技を仕掛ける時の腰の位置も、高校時代の低い姿勢から高くなった。「大学の練習には自由がある」と楽しみながら柔道の幅を広げ、昨年の北信越体重別60キロ級優勝につなげた。

「連覇をしてみたい」と話す井上には、過去、目を見張るような実績はない。高校はインターハイ出場常連校の開志国際ながら、全国大会の出場経験はゼロだった。高校3年の県高校総体個人60キロ級は8強止まり。それでも柔道への情熱を失ったことはなかった。「大学に入ったら成績を残そう」と将来を見据えていた。今がその時だ。

双子の兄翔太も同大の柔道部に在籍している。66キロ級の兄とは試合で対戦する機会はないが「兄はライバル」と言う。通常の体重は62キロで減量に苦しむこともない。大会上位者(60キロ級は4人)は、全日本学生体重別選手権(10月=東京・日本武道館)の出場権を得る。北信越Vで臨んだ昨年の全日本体重別は初戦敗退した。「1回でも、2回でも勝ちたい」と井上は全国大会初勝利も視界の隅に入れていた。【涌井幹雄】

◆井上創太(いのうえ・そうた)2002年(平14)10月15日生まれ、阿賀野市出身。安田中-開志国際高。柔道は中学から始める。小学時代にはドッジボールに取り組んでいた。段位は二段。得意技は背負い投げ。162センチ、62キロ。血液型O。