【ニューヨーク29日(日本時間30日)=吉松忠弘】テニスの4大大会今季最終戦、全米オープンがニューヨークで開幕。予選を勝ち上がり、4大大会本戦にデビューした無名の世界124位、ダリア・スニグル(20=ウクライナ)が、母国への思いで、ツアー初の1勝を金星で挙げた。

2度の4大大会優勝を誇り、元世界女王のシモナ・ハレプ(30=ルーマニア)に6-2、0-6、6-4で勝ち、勝利の瞬間、コート上で号泣。「4大大会で初めてプレーした私が、あのハレプに勝つなんて。そんなの不可能、不可能よ」と、大騒ぎだ。

摩訶(まか)不思議なプレーで、ハレプのタイミングをずらした。足は棒立ちで、手だけではたくように打つフォアにバックは、まるで素人同然のフォームに見えた。しかし、その構えから放たれる球は、回転が少ない直線的な速球で、バウンドしてから、相当に滑った。

世界でも全く無名で、女子ツアーを統括する女子テニス協会(WTA)のホームページでも、彼女の情報はほとんどない。ただ、ジュニア時代は、19年ウィンブルドン・ジュニアに優勝するなど、期待の若手の1人だった。

現在はポーランドのワルシャワに住む。しかし、母国にいるときは、首都のキーウで練習する。母ビクトリアさんは、今でもキーウ在住だという。試合中、左胸、心臓の上あたりに、母国の国旗を模したリボンをつけた。勝利の瞬間、そこに両手でハートをつくった。「母国のために戦った」。熱い思いがほとばしった。

◆全米オープンテニスは、8月29日から9月12日まで、WOWOWで全日生放送。WOWOWオンデマンドとテニスワールドでも全コートでライブ配信される。