26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪(イタリア)でのメダル獲得を目標に8季ぶりに現役復帰した佐々木明(41=フリー)が、復帰後初の国内公式戦に出場。1回目24番スタートから果敢に攻めるも、中盤でポールをまたいで旗門不通過となり、途中棄権で2回目に進めなかった。

佐々木がコースを外れると、斜面を見上げるファンから「ああ…」と大きなため息が漏れた。W杯下部大会のファーイースト(FA)杯で、国内では10季ぶりの公式大会出場となった。「見ての通り。下手くそがやるレース。コンディションは普通です」。4日の北米杯(米国・バークマウンテン)前の練習で大転倒した際の右肩骨折(2本)を言い訳にせず、苦笑した。

昨年8月、南米のFIS公認大会2連勝で、華々しく現役に復帰した。その後も途中棄権と上位進出を繰り返しながらポイントを加算、今大会直前に参戦したスロベニア・ログラのFISレースでは、2位、4位と結果を出した。回転種目の世界ランクは現在240位。8年のブランクで0ポイントとなった位置から、全日本スキー連盟(SAJ)がW杯派遣基準とする150位以上まで、残りわずかに迫った。佐々木は「復帰から1季でW杯に出場できたら、世界記録じゃないかな」とおどける。

昨年7月から2カ月間募集したクラウドファンディングでは、五輪出場までの活動費3400万円以上が集まった。欧州のレースでは、スタート直前にファンから「写真を撮って」とせがまれるなど、日本人最多3回のW杯表彰台を経験した人気は健在だ。「下手くそだから、練習してくるわ!」と、レース後に笑顔でこつぜんと姿を消した佐々木。28日の2戦目で、本物の強さを見せる。【中島洋尚】