6季ぶりにB1に参戦した仙台89ERSは、ここまで34試合を終え、11勝23敗で東地区6位。昨年12月25日SR渋谷戦から9連敗と苦しい時期が続いていたが、1月22日富山戦で連敗を脱してからは3連勝と波に乗る。

日刊スポーツ東北版は藤田弘輝ヘッドコーチ(HC=36)にインタビュー。前半戦の総括と後半戦への思いを聞いた。

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後半戦4試合を消化して3勝1敗。好スタートを切ったが、前半戦を振り返った藤田HCは、悔しさをのぞかせた。「ネガティブですが、勝ち切れなかった試合がすごく印象深いです。京都のゲーム2(22年10月2日)や宇都宮のゲーム1(10月14日)…。新潟のゲーム2(12月4日)、三河のゲーム2(10月9日)、信州のゲーム2(10月23日)…」。指揮官が挙げた中で宇都宮の第1戦以外はすべて、第1戦は勝利したものの、第2戦は負けた試合だった。

前節(1月28、29日)滋賀戦で今季初の同一カード連勝を果たした時には、喜びをかみしめるとともに「これまではどこか『昨日勝ったから』と緩んでしまう部分があったと思います」と分析していた。前半戦の数試合は、選手らが勝利への強いマインドを持っていても、1度のミスから崩れたり、急に気持ちが緩み、クオーターの立ち上がりで連続失点するなど、信条の「強度の高いディフェンスを40分間やり続ける」ことが徹底できなかった。

3連勝となった1月29日の滋賀第2戦は「強度の高いディフェンス」を40分間やり続けた。試合後、指揮官が「流れを渡さないで、良いゲーム運びができた。チーム一丸となった勝利」と振り返ったように、全選手が「負けられないぞ!」という強い気持ちで勝利をたぐり寄せた。「僕らは(愚直に)やり続けるだけです。たとえシュートが入らなくても、良いシュートをつくるための努力をすべき。そして、ディフェンスではひとりひとりの気持ちや(守備の)強度の高さ、コンタクトの強さ、ヘルプサイド(両方のゴールを線で結んで、コートを縦に二分したときのボールがない方のサイド)のポジショニングなどの、コントロールできることにフォーカスすることが大事」。滋賀戦のようにやるべきプレーをやり続ければ、おのずと勝利がついてくる。「どんなに倒れても、もう1回立ち上がって、やり続けるだけだと思っています」。どんなに苦しい状況であっても、粘り強く、泥臭く乗り越えようとするチームスローガン「GRIND」の精神で、9連敗から見事に立ち上がった。

ここからが本番だ。今後は名古屋D戦後、11、12日にアウェーで秋田と対戦する。指揮官は「勝つために戦う。それだけです」ときっぱり。残りは26試合、この先もチームとして積み上げられるものはいくらでもある。巻き返しを図る仙台89ERSが、勝利の文化を築いていく。【濱本神威】