サーフィン男子で東京五輪銀メダルの五十嵐カノア(25=木下グループ)が、24年パリオリンピック(五輪)出場権を獲得した。

前日までの成績で、五十嵐と初出場の稲葉玲王(26)のいずれかが、アジア勢最上位での出場権を得ることが確定していた中、稲葉がこの日の初戦の敗者復活11回戦で4位となって敗退。既に7回戦進出を決めていた五十嵐の国際連盟(ISA)から五輪出場枠が与えられるアジア1位が確定した。6日に女子の松田詩野(20)が全32競技を通じて日本勢初の出場権を獲得しており、これに次ぐ2番目、男子では初となった。なお松田、五十嵐ともに来年2月に予定される次回WGへの出場が必要となる。

五十嵐は大会前、「去年と同じように自分の100%のパフォーマンスができるように準備している」と自信を示しており、有言実行の夏祭典切符の獲得となった。

21年に東京五輪で銀メダルを獲得。22年には、WSを制し、悲願の世界王者になった。それでも、目標は「みんなと一緒に楽しむことが一番」と貫いた。今大会でも、アジアのライバルとなる他の日本人選手にも、波の情報や知識を隠すことなく伝えてきた。

日本連盟の宗像富次郎ハイパフォーマンスディレクターからは「ムードメーカー。『自分だけが』と言うところがなくチームのために活躍してくれる選手で、誰からも信頼されている」と評される。カノアはハワイ語で「自由」。自然体で、2大会連続となる五輪切符を1年前につかみ取ってみせた。

◆五十嵐(いがらし)カノア 1997年(平9)10月1日、日本人の両親のもと米カリフォルニア州で生まれる。3歳の時にサーフィンを開始。16年に、史上最年少でアジア人初となるCT参戦を果たす。17、18年全米オープン連覇、18年世界選手権個人戦2位で日本の団体戦金メダル獲得に貢献。21年に、東京五輪銀メダル。22年には、WSを制し世界王者。弟のキアヌもサーフィン選手。180センチ、75キロ。