日本のエースが、コートに戻ってきた。元世界ランキング4位の錦織圭(33=ユニクロ)が、約1年8カ月ぶりの復帰戦を勝利で飾った。世界ランキング333位のクリスチャン・ラングモ(米国)と対戦し、ブランクを感じさせないプレーで6-2、6-4でストレート勝ち。度重なる故障を乗り越え、復活ロードを駆け上がる。2回戦は15日(日本時間16日)の予定で、世界258位のミッチェル・クルーガー(米国)と対戦する。
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強烈なダウンザラインがさく裂した。第1セット第1ゲームから、錦織の代名詞がさえわたる。15-15から、いきなり相手サービスゲームをブレークする最高の立ち上がり。身長191センチのビッグサーバー相手に、次々とバックハンドを決めていった。「復帰するにあたってバック側のダウンザラインが一番コントロールできていなかった。半分諦めて試合に入ったが、出だしからどんどん打っていけた」。21年10月のBNPパリバ・オープン以来、約1年8カ月ぶりとなる実戦で、確かな手応えを得るストレート勝ち。安堵(あんど)の色が広がった。
テニス界の先頭を走ってきた男に、重圧がのしかかっていた。「めっちゃいろいろ考えた」という試合前。復帰戦はメディアにも大きく取り上げられ「正直静かにやらせてほしかった」と苦笑いした。だが「勝とうが負けようが、ここにいる幸せを感じながらやろうと思った」。コートに立てる喜びは、何よりも大きかった。
昨年1月に股関節を手術。リハビリ中の同9月には右足首を痛めた。当初は今年5月下旬からの下部ツアー3大会に出場を予定していたが、調整の遅れで2大会を見送った。引退が脳裏をよぎったこともあったが「こんなに努力したのを、このぐらいのことで手放すのか」と奮い立たせ、この日を目指してきた。
実戦形式練習に本格的に取り組んだのは、約2カ月前から。今大会を通してかつての感覚を呼び覚ます。「この試合を勝ったことで、多くを望まず、楽しんでこの大会を戦える」。最高4位だった世界ランキングが、今はランク外。復活ロードのスタートラインにようやく立った。ここから1歩1歩を踏みしめていく。
<錦織の復帰までの世界ランク推移>
◆15年2月 前年の全米準Vもあり男女通じて、伊達公子と並ぶ日本最高位の世界ランキング4位。
◆20年8月 新型コロナウイルスに感染。同9月にオーストラリアで約1年ぶりに実戦復帰。14年から19年まで世界ランキングの年間最高位は1桁だったが、1月の16位が最高。
◆21年9月 東京五輪ではベスト8進出も、左股関節唇損傷の痛みが再発し、同10月を最後に実戦から離れる。世界ランキングは同年4月の39位が最高位。
◆22年1月 股関節痛で1月に内視鏡の手術。復帰を目指していた9月には右足首を捻挫。長期離脱で、ランキングは6月84位、8月160位、9月740位と下がり続け、10月にはランク外になった。
◆23年2月中旬、5月末 下部ツアーにエントリーも復帰を延期。
○…ATPツアーの全大会で本選出場するには、世界ランキング50位以内が目安となる。予選を経ずに最高峰グランドスラム本戦に出場できるボーダーは100位前後。シングルスのランキングは、過去52週間(約1年)に出場した大会での獲得ポイント(P)上位18大会の合計Pで決まる。錦織が出場中のチャレンジャーツアーは、優勝で50~175Pが付与される。現在の100位ラインは600P前後。ランク外の錦織がATPツアーに出場するためには、ツアー下部大会でポイントを積み重ねていく必要がある。
◆テレビ放送 男子テニス米下部ツアー、カリビアン・オープン(米自治領プエルトリコ)の錦織圭の出場試合はWOWOWで放送。WOWOWオンデマンドでライブ配信される。


