今週はラグビーを愛する著名人が、その魅力を語る。初回は伝説的テレビドラマ「スクール★ウォーズ」の主題歌「ヒーロー」を歌う麻倉未稀(58)。歌詞と同じ“熱い”思いでワールドカップ(W杯)の盛り上がりと、日本の勝利にエールを送った。

不良がバイクで廊下を走り抜け、校舎のガラスをたたき割る。ラグビーを題材にした不朽の名作ドラマ「スクール★ウォーズ」のオープニングから「ヒーロー」のイントロは流れ出す。

〈歌詞〉愛は奇蹟を信じる力よ 孤独が塊(こころ)を閉じ込めても ひとりきりじゃないよと あなた

もともとはカバー曲だが、麻倉には歌いながら、伝えたい思いがある。

麻倉 この歌で言いたいことは、負けても勝っても、信じることで何かをつかむことができる。また信じることで、奇跡が起こる。歌を作るのもそうですけど、ラグビーでも、どこか心の中に孤独、怖さが備わっているような気がします。信じる力で、みんなとチームワークが取れるようになっている時、奇跡が訪れるんじゃないかな。

前回のW杯。日本は南アフリカにラスト1プレーで逆転し、歴史的な勝利を刻んだ。「南アフリカ戦は日本全体が信じる力に包まれていたじゃないですか。日本は深夜でしたけど、ラグビーをあまり知らない人も、代表が頑張っている姿を見ていましたから。そういう力はどこにいても、通じるものがあるんじゃないかなと」

〈歌詞〉 You need a hero 胸に眠るヒーロー 揺り起こせ 

スタンドの声援は選手の背中を押し、力となる。ラグビー場で歌う時、心掛ける。「お客さん全員が選手にエネルギーを入れるように、『みんな団結しろよ』『団結しないと勝てないぜ』と思いながら歌っています」。そんな思いも届いてか、勝利の女神にもなっている。昨年5月、スーパーラグビーのサンウルブズ-レッズ戦のハーフタイムで「ヒーロー」を歌った試合で、サンウルブズは63-28の快勝。それはシーズン10戦目にして初勝利だった。

「ヒーロー」を世に送り出して以降、よく言われることがあるという。「あのドラマを見て、ラグビーを始めました」「あの曲をかけながら練習をしていました」。その時には「ラグビーの人気に少しは役だったのかな」と感じる。「すごくうれしいです」と笑う。

W杯開幕まで、あと2カ月に迫った。PR活動にも積極的に参加してきた麻倉は「2、3年前はすごく遠い気がしていましたが、気が付くと今年。早いですね」。最後に日本代表にもエールを送った。「もちろん勝って欲しいですし、自分たちの試合を続けて欲しいです。日本もラグビーがもっと浸透していけばいいなと思っています」。【上田悠太】