前半の日本は完璧な出来だった。トライ数はもちろん、ポゼッションでもテリトリーでもイングランドを圧倒。相手に何もさせなかった。15年ワールドカップ(W杯)の主力が名を連ねた日本に対し、イングランドはキャップ数の少ない選手も多かった。経験の差が、立ち上がりに出た。また、イーブンのボールが日本側にこぼれるラッキーな部分もあった。

後半、試合は逆の展開になった。ポゼッション、テリトリーともに日本は50%を超えていたが、違ったのはペナルティーの数だ。前半1だった日本が9も取られた。これでは、一方的に攻め込まれても仕方がない。さらに、残り20分を切ってからは選手のフィットネスががくんと落ちた。終盤に突き放された理由だ。

前後半でイングランドは別のチームになった。大きいのは後半から入ったSOファレルの存在。日本に対してバタバタだったチームの意識が、強いリーダーシップで変わった。自信を持ってボールを回し、アタックしてくるようになった。日本はチームを変えるような交代選手はいなかった。

イングランドのジョーンズ監督は、来年9月のW杯をターゲットに逆算してチーム作りをしている。日本も同じだ。W杯に向けてニュージーランド戦、イングランド戦と強豪相手に速いテンポのラグビーが通用することが分かった。次はW杯本番でも対戦するロシアが相手。手の内を隠す駆け引きはあるだろうが、そんな中でも圧倒的な力で勝ちたい。それが、日本ラグビーの自信につながるのだから。(サントリー監督)