ラグビーW杯日本大会の開幕まで、20日であと半年になる。日刊スポーツでは3日間連続で特集を掲載する。1回目は、欧州6カ国対抗を現地で視察した前サントリー監督の沢木敬介氏(43)が、最新ラグビーのトレンドを分析。日本が何を準備し、1次リーグで同組のアイルランド、スコットランドとどう戦うかを聞いた。【取材・構成=荻島弘一】

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6カ国対抗では日本が1次リーグで対戦するアイルランドが3位、スコットランドは5位だった。ともにこれまでとは異なる顔を見せたという沢木氏。強豪国同士の戦いの中で見えた強みと弱み。日本はどう戦えばいいのだろうか。

沢木 今回のアイルランドはキックが減った。SHマリーのキック精度が落ちていたこともあり、相手陣に入るのに苦しんだ。どこからでもトライできるのが強みで、もともとディフェンス力もある。ただ、イングランド戦で再三突かれたように、背後のスペースには弱点がある。日本は、アイルランド陣で試合を進めて、背後を狙う。それができれば、勝機はある。

スコットランドは、前回のW杯時にスタッフとして分析したチーム。だからこそ、沢木氏はその変貌ぶりに驚きの声をあげた。

沢木 前回と数字が全然違う。本来はラインアウトからのモールなど、しっかりと陣形が整った中で攻めるのが得意なチーム。それが、今回は形になっていなくても攻め、トライに結びつけていた。ボールを動かすラグビーだ。ただ、SOラッセンにプレッシャーがかかり、キックやパスなど状況判断が乱れると攻撃全体がバラバラになる。SOに圧力をかけ続けることが勝利につながる。

W杯の年の6カ国対抗は特別。勝利という本来の目的とは別に、W杯へのテストという側面もある。だからこそ、あと半年チーム作りを見逃せないのだ。

沢木 W杯まで、各チームとも3、4試合を行うはず。今回試した戦術、スタイルを貫くのか、どこかで変えるのか。そこを見極めることも必要。あと半年といっても、実際に準備ができるのは3、4カ月。相手の分析やレフェリーの分析など、本番までの間にやることは多い。

(ニッカンスポーツ・コム/ラグビーコラム「サントリー前監督 沢木敬介の解説」)

16日、欧州6カ国対抗を制し歓喜するウェールズの選手たち(AP) 
16日、欧州6カ国対抗を制し歓喜するウェールズの選手たち(AP)