旭川龍谷が昨年決勝の相手、北見北斗を55-7で下し、2年連続の花園出場に王手をかけた。FB藤平哲成(2年)が4トライ4Gの28得点でチームをけん引。3歳から続けているピアノでは全道コンクールにも出場。音楽で養ったリズミカルなステップを武器に、1回戦(芦別)でも4トライを含む30得点。19日の遠軽との決勝に向けて、背番号15が量産体勢に入ってきた。

藤平の疾走感あふれるトライが白星へのリズムを刻んだ。5-0の前半4分。中央からのロングパスを受け取ると相手2人のタックルを受け流して約40メートルの独走トライ。「あれで勢いがつきました」。16分後に再び中央突破でトライを奪うと、後半も2トライ。チーム総得点の半分以上となる28得点の活躍で勝利に導いた。

芦別との1回戦とあわせて今大会は8トライ。チーム得点源の藤平の下地にあるのは音楽的素養だ。3歳から始めたピアノでは小学校高学年のときにコンテストで旭川代表になり全道大会に出場した腕前。今も練習後には自宅のグランドピアノで鍵盤に触れ、4月には定期発表会に参加している。

W杯で活躍中の日本代表WTB福岡堅樹(27=パナソニック)も幼少期はピアニストで、華麗なステップやハンドリングはピアノで培ったという。藤平は「気分転換にもなるし、リズム感とかにもつながっているかもしれませんね」と話す。

39年ぶりに花園出場した昨年は1年生で唯一出場。玉島との1回戦に先発出場したが、自身の体の小ささを痛感し、チームも5-26で敗れた。FBに転向した昨冬からは食事量もウエイトトレの練習量も増やし、一冬で10キロ増の75キロまで増やした。「花園の舞台を知っていることは大きい。経験を生かしたい」。敗戦を糧に成長を遂げた。

チームは2年連続の全国舞台をかけて19日に遠軽と対戦する。今季2戦2敗の相手だが「プレッシャーはない。去年の経験を生かしたい」。4人きょうだいの末っ子で、ショパンが得意な17歳のFBが花園というフィナーレへと誘う。【浅水友輝】