<バレーボール:全日本高校選手権:聖隷クリストファー2-0福井工大福井>◇2日目◇男子2回戦◇6日◇東京体育館

 男子は4年連続8度目出場の聖隷クリストファー(静岡)が、福井工大福井(福井)を下し、順当に初戦を突破した。序盤こそ緊張から硬さがあったが、セッター下出谷剛生(しもでや・たかお=3年)が正確なトスワークで相手を攻略。コート上の司令塔となってゲームを支配した。今日7日の大村工(長崎)戦に勝てば、同校では初めての全国ベスト8進出が決まる。

 聖隷クリストファーの攻撃は、下出谷から始まった。センター、サイドに正確なトスワークでボールを配球。同校アタッカー陣が迷わず腕を振り抜いた。第1セット(S)こそポイントの奪い合いで接戦となったが、硬さの取れた第2Sは最後まで主導権を握り、危なげなく初戦突破を決めた。下出谷は「バランスよくトスができてよかった」。最後は自身のブロックで試合を終わらせた。

 下出谷の戦術眼は、相手だけではなく味方にも届く。「今日は(センター杉本)匠が硬かった。緊張していないフリをしているなと。だから調子のよかったセンター風間と小粥を使った」。序盤の3本ほどで今日の調子を見極め、相手の穴を探る。コート上の「監督」となって、選手たちにサインを送り続けた。田川明浩監督(43)も、試合中あえて何も言葉をかけず「今までの全国の舞台で、一番いいトスワークができた。下出谷に任せていますから」と選手をたたえた。

 地元大阪の強豪校・大塚への進学がほぼ決まっていたが、聖隷を選んだ。7人の選手と寮生活を送る。マンション2室を借り上げ、隣には同監督が住んで生活面も指導。関西弁と人なつっこい性格ですぐに静岡での生活にもなじんだが、母カナ子さん(47)は「中学のころ突っ張りだして手に負えないときもあったので、ここまでよく成長してくれたと思います」と明かした。

 過去14度の全国で阻まれ続けているベスト16の壁。「次の大村工戦に勝って、ベスト8、4に入っていきたい。総合的な能力は向こうが上かもしれないけど、自分たちの執念を見せたい」と下出谷は言う。笑っても泣いても最後の大会。3年間の集大成が試される。【栗田成芳】