<世界大学選手権:日本10-1チェコ>◇8日目◇24日(日本時間25日)◇1次リーグ◇チェコ・ブルノ

 【ブルノ(チェコ)=前田祐輔】早大・斎藤佑樹投手(2年=早実)が、悲願の金メダルへ、準決勝、決勝の連続先発を志願した。予選リーグ最終戦は、チェコに10-1で勝った。斎藤は8回から1イニング13球を投げ、無安打1三振に抑えた。5勝1敗で2位となり、26日(日本時間27日)の準決勝は同3位の韓国と対戦。斎藤の先発が決定した。もう1つの準決勝は米国(1位)対台湾(4位)。決勝は米国との対戦が予想され「日本のエース」がフル回転を誓った。

 暮れかけたチェコの夜空を背に、斎藤が小走りでマウンドに向かった。8回、先頭を一塁ゴロに打ち取ると、次打者を右飛、最後はカウント2-2からフォークで空振り三振に切った。準決勝に向けて上々の試運転。「今日はとにかく、真っすぐを思い切り投げようと思った。どんどん良くなってきている」。今大会最速の143キロをマーク。野球不毛の地、チェコのファンからも拍手が起きた。

 メダルをかけた勝負の準決勝は、日韓決戦。斎藤は予選リーグ韓国戦で、7回から2イニング無失点に抑えた。「打たれてないけど、日本に対しては向こうも特別というか、思い切りやってくる。安心できない」と引き締めた。先発3本柱の明大・岩田慎司投手(4年=東邦)、青学大・井上雄介投手(4年=千葉経大付)は共に韓国戦2失点。大会前からのプラン通り、斎藤が大一番に先発する。

 決勝は米国との対戦が予想される。斎藤は「アメリカはやっぱり投げたい。韓国も投げたい。両方先発したい」と連投を志願。決勝進出を果たした母校早実を思い、甲子園7連投で全国制覇した時のような高校野球魂を取り戻した。

 慣れないチェコ生活も満喫している。鳥や豚肉、パスタ中心の食生活だが「全然おいしいです」。試合前には現地の日本企業から、おにぎりが差し入れられた。疲れがたまった腕には、自ら軽くハリを打つ。初めて着る縦じまの日本代表ユニホーム。手にした時には、すぐに鏡の前で試着した。「日の丸の重みは感じるけど、去年も(代表に)入っているし、それなりに自覚がある」。決戦に向けたエースの決意表明だった。