駒苫V戦士が1部昇格のキーマンになる。東都大学野球2部の秋季リーグ戦が8日からスタートする。駒大の林裕也二塁手(3年=駒大苫小牧)は、秋開幕を前に「ゲームキャプテン」に就任した。今年の春季リーグで打率4割をマークし首位打者に輝きながらも、チームは入れ替え戦で中大に敗れ12季ぶりに2部に降格した。1季で1部復帰へ、林がチームを導く。

 林に大役が回ってきた。小椋正博監督(55)から「チームを引っ張っていって欲しい」とゲームキャプテンに任命された。古橋慶樹主将(4年)が試合に出場しないことから3年生の林が抜てき。駒大苫小牧時代も主将を務めた林は「このリーグ戦後に1部に昇格する。それが第1目標。よりチームのことを考えて戦いたいと思う」と話す。ただ打つだけではなく、目配せをしながらチームを率いるつもりだ。

 今年に入って打撃の才能が開花した。昨年は課題のスローイング強化のため、練習は守備に時間を割いた。弱点を1年かけて克服し、春から打撃フォームを変更し「打撃が一気に安定した」(林)。グリップは指1本分空けていたのを4本分に広げた。フォームもバットを寝かせ、力む癖があった手首の位置を修正した。春季リーグで結果を残し、首位打者、そして初のベストナインも獲得した。

 林のベースには常に「駒苫」がある。結果を残せなかった2年生のある時期に小椋監督から「過去を忘れろ」とアドバイスを受けた。それでも林は「監督から言われても、忘れない。あの時があるから今の自分がある」と決して過去を消そうとは思わなかった。「あいつがあんなに頑張っているんだから」と楽天に入団した1年後輩の田中将大投手(19)の北京五輪の活躍を見ながら練習で自分を追い込んだ。

 1部昇格、その先にプロ入りへの希望もある。高校3年時の05年9月、第6回アジアAAA野球選手権(韓国・仁川)の遠征で大阪桐蔭の辻内(現巨人)、平田(現中日)らとチームを組んだ。プロ注目の選手を目の当たりにして、高卒でのプロ入りはあきらめた。最近、少しずつ手応えを感じ始めた。「チームも自分もより上を目指していきたい」。林は貪欲(どんよく)に前だけを見据えている。【上野耕太郎】