<社会人野球・都市対抗東海2次予選:ヤマハ6-3JR東海>◇25日◇岡崎市民球場

 ヤマハ(浜松市)が6-3でJR東海(名古屋市)に勝ち、東海第3代表として6年連続33度目の本大会(8月21日開幕、東京ドーム)出場を決めた。終盤の8回に同点に追いつくと、9回1死一、二塁から武谷誠捕手(27)が走者一掃の勝ち越し三塁打。劇的な逆転劇で、東京ドーム出場権を手にした。

 歓喜の輪がマウンドにできた。祝福の紙テープが、一塁側スタンドから何本も投げられた。終盤に追いつき、勝ち越して決めた東京ドーム切符。ヤマハの高柳信英監督(56)は「野球は分からんねぇ。武谷が初めて出て…。それが一番うれしいよ」と目尻を下げた。

 劇的な勝利だった。同点で迎えた9回表。無死一塁から1度は犠打に失敗した。だが、続く主将の嶋岡孝太三塁手(27)が左前打を放ち、流れを渡さない。迎えた打者は、5年目で都市対抗初打席の9番武谷だった。「つなぐことだけしか考えなかった」と無心で放った打球は、左中間を深々と破った。走者一掃の勝ち越し三塁打。「5年目で、公式戦初安打なんです」。涙目になりながら喜んだ。

 苦しい展開だった。3回に同点としながら、その裏に勝ち越された。7回には暴投からさらに1点を許した。だが、8回に相手の失策と佐藤二朗二塁手(28)の中犠飛で追いつき、そして9回。守備についたばかりの7回裏に、暴投を止められなかったことを悔やんでいた武谷が勝負を決めた。

 全員でミスをカバーし、手にした本大会行き。「今まで通りチャンスが来たらいい仕事ができるように頑張りたい」。この試合の優秀選手に選ばれた武谷の思いが、4度目の日本一へ後押しする。【今村健人】