<東京6大学野球:早大6-5法大>◇第1週最終日◇13日◇神宮

 4季ぶりの優勝を目指す早大・斎藤佑樹投手(4年=早実)が、5回3奪三振2失点で大学ラストシーズン初勝利、リーグ通算28勝目(13敗)を挙げた。12球団スカウトの前で、2回には決勝の2点適時左前打を放ち、2勝1敗で勝ち点1とした。通算三振は299個で、史上13人目の300三振に王手をかけた。6回からは大石達也投手(4年=福岡大大濠)が救援して逃げ切った。

 同点の2回1死満塁、バッター斎藤は打てる予感がしていた。バットを一握り短く持って、ドラフト1位候補、加賀美のスライダーに食らいつく。「キャプテンとして、とにかく点を取りたかった」と、左前に抜ける打球を見届けて、塁上で小さくガッツポーズを決めた。今春は大学初本塁打を放った相手。打って投げての初勝利だった。

 1回戦では、初の大台150キロをマークした。「不思議と、軽くピュッって投げた感じだった」と言う。今秋からトレードマークだった軸足の右ひざを曲げる角度を小さくするなど、新フォームに取り組んだ。この日の最速は147キロ。高めのボールを狙われた1回戦のビデオを見て「とにかく低めに投げようと意識した」と、コントロール重視に切り替えた。300三振には届かずも、15アウト中、内野ゴロ10個(1犠打含む)で打たせて取った。

 敗れれば優勝が遠のく一戦。斎藤は「追い込まれた感じはなくて、何か自信があった」と朝起きた時から力がみなぎった。大学生活も残す単位は卒論だけと、公私に順調だ。通常ベンチ入りメンバーだけだった開幕前の焼き肉決起集会は、初めて100人以上の全部員参加で行った。昨秋は早慶戦に敗れて泣き、今夏の世界大学選手権は米国に敗れて泣いた。大学最後の秋は、勝って笑って終わりたい。【前田祐輔】