阪神はやはり特別な環境だ。あらためてそう感じたのは、松山市内の坊っちゃんスタジアムで行われた、阪神北條とヤクルト選手の合同自主トレを取材した時だ。ヤクルトは2年連続トリプルスリーの山田や、15年首位打者の川端らそうそうたる面々が参加。阪神からは昨年ブレークした北條のみが参加していた。それにもかかわらず松山に集った報道陣約60人のうち、半数以上は在阪マスコミで北條目当ての取材だった。これには山田も思わず「多すぎでしょ。阪神やっぱりすごいっすね」と苦笑い。広岡らツバメ軍団の若手選手たちも、北條に対して「スターっすね」とちゃかす場面もあった。

 そんな注目度がある阪神だからこそ、実績のない若手が勘違いして伸び悩むという事象をたびたび聞く。だが北條に関しては、そんなこととは無縁に思える。会話していると良く耳にする言葉がある。「僕なんか全然っすよ」。やんちゃそうな見た目とは裏腹に驚くほどに謙虚だ。聞けば、いまやチームの顔である鳥谷も若手時代から常に謙虚だったという。その姿勢を持つ北條なら、きっと今季も大活躍をみせてくれるだろう。【阪神担当=梶本長之】