ポタリ…。沖縄・名護球場の記者席、机に広げたスコアブックの上に、白く濁った液体が落ちる。初めて来る記者はびっくりするものだが、日本ハム担当歴が10年になろうかという私にとっては慣れたもの。ペンキやセメントを含んだ雨水が、天井からしたたり落ちているのだ。数年前から発生しており、足元のじゅうたんは真っ白く変色してる。

 老朽化がはげしい同球場が、今キャンプ終了を持って取り壊され、新たなスタジアムに生まれ変わる。2020年のキャンプで使用することを目指し、建設するという。近年は新庄、ダルビッシュ、大谷ら、数々のスター選手が汗を流したグラウンド。なにより、日本ハムが1978年に、日本球界で初めて、沖縄でキャンプを開催した歴史に名を刻む場所だ。

 現在は8球団が沖縄でキャンプを行っている。「パイオニア」である名護球場は、球史に残る「レガシー」。スコアボードの一部や、それが難しければブロック塀など、記念として何かを新球場にも引き継ぐような記念事業があってもよさそうだ。当初は新球場の建設計画に、日本ハムの要望があまり反映されていなかったようだが、現場レベルの折衝で、ようやく建設スタートまでこぎつけた。

 チームは昨年から米アリゾナキャンプを行っており、メジャー球団のキャンプ施設のすばらしさは選手も感じている。実際にプレーする球団や選手たち、応援に駆けつけるファンのことを第一に考えた、誇れるスタジアムになることを望みたい。日本一のチームが国内キャンプを張る場所だ。期待して待ちたいと思う。【日本ハム担当=本間翼】