開幕直後、ある球界関係者がボソッと呟いた。各チームのオフの補強を振り返っていた時だ。「そういえば、メルキー・カブレラも阪神に売り込みをかけていたもんな」-。

 メルキー・カブレラといえば、つい数年前までメジャー屈指の巧打者と評されていた。ジャイアンツ時代の12年にはドーピング検査で陽性反応を示し、50試合の出場停止処分を受けたこともある。それでも昨季までメジャー13年間で通算打率2割8分6厘、1786安打を誇る。まだ33歳の大物サイドが、日本球団に頭を下げられるのではなくて、オファーをかけてくる時代が来た、ということだ。

 米国では特に最近、30歳オーバー選手の契約がまとまらず、実力者がFAのままだぶついているケースが多い。となれば、日本球団と大物選手との間で、10年前では考えられなかったような契約がまとまる可能性も十分ある。

 ちなみに阪神ではメッセンジャーが4月16日に国内FA権を取得し、残留すれば来季は外国人枠を外れる。単純に考えれば、1つ外国人枠が空くわけだ。ちょっと気は早いが、オフのメジャー市場の行方が楽しみだ。【阪神担当=佐井陽介】