開幕から10試合以上が過ぎた今季、近年になかった傾向が見られている。それは両リーグを通じて盗塁が多いことだ。今季と同じ消化試合数(セ=44、パ=41)で、最近10年の合計盗塁数を比較してみると

09年96(セ=50、パ=46)

10年109(セ=57、パ=52)

11年94(セ=34、パ=60)

12年93(セ=27、パ=66)

13年97(セ=53、パ=44)

14年107(セ=51、パ=56)

15年112(セ=49、パ=63)

16年94(セ=42、パ=52)

17年85(セ=54、パ=31)

18年121(セ=55、パ=66)

 ここまでの盗塁数はここ10年で最多の121個。同条件での合計盗塁が120個以上は、96年(121個。セ=52、パ=69)以来、22年ぶり。ここ10年どころか、最近20年で1番のハイペースだった。チーム別盗塁数を見ると、セ最多はDeNA(16個)で、パ最多は西武(17個)。くしくも現在首位の2チームが、盗塁数でもリーグをけん引している。また昨年のリーグ最下位に沈んだヤクルトは6→11、ロッテが1→16と盗塁数を増加。積極的な走塁は、現在3位と健闘している一因といえるだろう。

 そんな「盗塁ブーム」の中、阪神だけは異なる姿勢を見せており、14試合で盗塁は1個だけ(11日広島戦の梅野)。阪神では91年にも14試合目まで盗塁が1個だったことがあるが、これだけ少ないのはチームでは珍しく、またリーグ全体のハイペースがほぼ11球団での数字というのも、他の球団がいかに走っているかが分かる。

 ちなみに両リーグとも現在のペースで盗塁数を重ねると、セ・リーグ全体では33年ぶりの600盗塁超え、パ・リーグ全体では44年ぶりの750盗塁超えの計算となる。近年では珍しい開幕からの「盗塁ブーム」がどこまで続くか今後も注目したい。(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「記録室から」)