阪神に荒木郁也という、なかなかのイケメン、スリム、ついでに独身の内野手がいます。これといった実績はないのでコアなファンしか知らないかもしれませんが、なかなかスピードのあるいい選手です。その荒木が11月18日に契約更改を行ったとき、たまたま取材にいっていました。

 そこで先月のドラフトで1位指名した高山俊外野手(22=明大)のことを話題に出してみました。荒木は日大三、明大と高校、大学で高山の先輩。そしてプロでも阪神で先輩後輩となった次第。世の中、先輩後輩といった人間関係はどんどんドライになっていく一方ですがプロ野球の世界は、まだそういう波をかぶっていません。いまだに先輩後輩の関係は重要視されるようです。

 「その話ですか~」と苦笑した荒木、「いっしょにプレーしたことないので何とも言えないですね…」と言った後に、ちょっと驚きの事実を明かしました。

 「まだ連絡が来てないんですよ。言っといてください」。ニヤリと笑いつつ、そこそこ真面目に訴えたのです。

 フツーの会社なら学校の先輩がいようが、直接、知らない人なら連絡しないことはざらにありますが、体育会、しかも先ほども言ったように、プロ野球の世界。阪神入りが事実上、決定してから約1カ月が経過したこの時点で連絡がないというのは、結構、めずらしい話です。この取材後、ネット上には荒木がちょっとムッとしているような記事が出回りました。…って、私も書きましたが。

 そこへきて19日、新たな動きがありました。同じく明大からロッテにドラフト2位で指名された関谷亮太投手(JR東日本)が入団契約を結んだ際に、関連する裏話を披露したようです。

 この関谷もやはり日大三-明大というルートで、荒木と高山の間に入る学年。こういう関係の場合、関谷が高山に、荒木の連絡先を伝えるようなのですが、それを忘れていたという。だから高山から荒木に連絡がないのは「自分のせいなんです」と恐縮したとか。

 ほほ笑ましいのは、高山は荒木の発言をニュースで知った途端、間髪入れずに連絡してきたそう。荒木によると、高山は言い訳は一切せずに「すいません」と謝罪を繰り返したという。

 もちろんこれを受け入れた荒木ですが、同時に「なんかボクが先輩風を吹かせて悪いヤツみたいに(世間に)受け取られたかもしれませんね…」と、気にしていることも付け加えておきます。

 昭和の男からすれば、三者三様のこういう気の使い方は、いいもんだなと思います。ともに阪神を強くしてくれれば言うことはありません。