最近、ちょっとだけ気分が悪いのです。正直な話。例のアマチュアボクシング界における超インパクトの強いあの人にまつわる話で、やたら「奈良」というフレーズがメディアに出てきます。「奈良裁定」とか「接戦した場合、やっぱり奈良やな」とか。

 もちろん奈良県そのものには何の関係もないのですが、親類、あるいは仲のいい友人が多く、大阪出身ですが、とても親近感を持っている奈良について、なんとなくイメージダウンのような気がして仕方がない。そんなところで奈良の名前を出してほしくないねん、と思っています。

 すると、9日の巨人-阪神戦(東京ドーム)で少し面白い? 光景を見ました。

 阪神1回の攻撃は2死二塁。ここで糸井嘉男外野手は左前で痛烈な当たりを放ったのです。

 二塁走者の糸原健斗内野手がスタート。「侍ジャパン」でも有名になった三塁コーチボックスの高代延博コーチは思い切ってグルグルと手を回しました。しかし打球をさばいた左翼手の巨人岡本和真選手は本塁へ好送球。見事に糸原を刺したのでした。

 実は、というほどのことはないのですが、岡本も高代コーチも同じ名門・智弁学園(奈良)で年齢の離れた先輩後輩です。この3連戦前、岡本は高代コーチのところにあいさつに出向き「おいおい、もうええのに…」という感じで、同コーチはにこやかに話していたのでした。

 阪神、広島を中心に取材してきたこちらですが岡本のことは個人的に気になっています。

 奈良・五條市出身で、まさに奈良の若者。素朴とした様子で、巨人がドラフト1位指名したときも「高校から直接、東京とか行って。しかも巨人って。大丈夫かいな」と何の関係もないけれど、心配していたものです。

 ところが、なんのなんの、です。現在は見事に巨人の4番打者として試合に出ています。しかも開幕の阪神3連戦で波に乗り、その後も阪神戦で活躍しています。そんなこともあって、ちょうど9日の試合前、岡本と少しだけ話をしてみました。

 巨人の4番って、すごいやんか-。楽しい-?

 「そうですね。4番というか試合に出られているんで、今はいいですね。阪神戦で好調ということですか。そら~、やっぱり、自然と気持ちが高ぶってくるからじゃないですかね~」

 口にはしませんでしたが、奈良、関西で育ち、本気で野球をしていて阪神タイガースを意識しないはずがありません。そういうことをまったく言わない選手もいますが、岡本は自然体でそのことをにおわせていました。

 おお。阪神を気にしてるな。これはこのまま活躍していたら、将来、FA権を取ったときに可能性があるかも…? 巨人の4番打者がFAで阪神って、それは、すごいでっせ…。そんな荒唐無稽な夢まで勝手に広げてしましまいました。

 そんな妄想はともかく、妙なことで落ちたかもしれない奈良のイメージアップのため、巨人の若き4番打者・岡本にはしっかり頑張ってほしいと思ったりするのです。