「もっと、もっとできる」

 3月1日、亜大と福岡ソフトバンクとの練習試合。先発した山崎康晃君(3年)は5回を8失点で降板すると、すぐさまブルペンに入り投げ込み。そしてグラウンドの外周を走り出しました。

 続く2番手で登板した大下佑馬君(4年)は2回を2三振を含む無安打に抑えたものの、「まだまだ足りない」と、山崎選手が走る後ろに加わりました。

 今年に入りゆったりとしたフォームに変え絶好調の薮田和樹君(4年)は抑えで2回を投げたものの、本塁打1本を打たれ1失点。すぐにブルペンに入り、リリースポイントの確認。試合での反省を修正し、笑顔で練習を終えました。(試合は2対9で敗戦)


 鹿児島県姶良市で行われた亜大の春季キャンプ。

「今日1日、できることは精一杯やる」

ミーティングで毎日のように選手たちの口から出る言葉。練習への取組みが変わりました。

「自分たちも、チームの代表としてキャンプに来ている。選ばれてベンチ入りをしているのだから、1日1日を精一杯頑張らないといけないと思いました」

 昨春の東都大学野球リーグで首位打者を獲得した長宗我部竜也君(遊撃・4年)が話してくれました。

姶良球場で、全員集合~! 1日の練習をやりきった選手たちの笑顔はすがすがしいね!
姶良球場で、全員集合~! 1日の練習をやりきった選手たちの笑顔はすがすがしいね!

 チームの変化――そのきっかけは日本の歴史を学んだことにありました。キャンプ前に、全員で映画「永遠の0」を鑑賞。鹿児島キャンプに入り、唯一の休日には全員で知覧の「知覧特攻平和会館」を見学。当時の特攻隊員の様子、同年代の少年たちが、特攻隊として明日死にゆく自身の気持ちを綴った手紙や遺品を見て、心が揺れました。

 

 キャンプでは絶好調だった大下君も、これまでの課題はマウンドで弱気になってしまうことでした。

「野球を始めたころからの課題でした。いつも弱気になって四球を出して崩れています。でも、大学4年、最後の年は強い気持ちで投げたいと思います」

今を生きる幸せ。映画鑑賞と知覧の見学は、選手を内面から変えようとしています。


「選手たちの野球ノートも変わってきました。最初は箇条書きだったり、ただ、書いているというか。それが、今回、日本の歴史を学んだことで、いい文章に変わってきました。より具体的に自分の気持ちを書けるようになったんです」と、生田監督も、選手の変化を感じていました。


 昨年は「ありがとう」という言葉で感謝の気持ちを。

 そして今年は、真の強さを求めている亜細亜大学。


「チームのために力になれるように、これから開幕に向けてしっかり調整したいです」

 この日は打ちこまれちゃったけど、あと1カ月。しっかり調整することを誓ってくれた山崎君。

 東都大学野球リーグ6連覇に向け。さらに強さを増す亜細亜大学。今春のリーグ戦でどんな試合を見せてくれるのか。楽しみです!

写真左から薮田和樹君、大下佑馬君、山崎康晃君と中山大樹君。中山君はバッテリー責任者を担当。チームを影から支える存在です!
写真左から薮田和樹君、大下佑馬君、山崎康晃君と中山大樹君。中山君はバッテリー責任者を担当。チームを影から支える存在です!