東海大相模(神奈川)は、1回に4番豊田寛外野手(3年)の2ランなど5連打で4点を奪い、関東第一(東東京)に勝利した。5年ぶりの決勝で、45年ぶりの優勝を目指す。

 東海大相模打線が初回からたたみかけた。先頭の千野が初球安打を放ち、2番宮地が二塁打。5球目で先制すると、3番杉崎も二塁打を放ち試合開始7球目で2点を奪った。そして、無死二塁で4番豊田だ。「頼むぞ」。バットにひと声かけ、カウント1-1から内角直球を振り抜いた。「最高の感触でした。外角を待っていましたが反応できました」。左翼席中段へ飛び込む高校通算38号2ランで4点目を奪い、完全に流れをつかんだ。

 「秘密特訓」の効果が出た。13日、門馬敬治監督(45)に呼ばれ室内練習場へ向かい、指揮官の投げた約600球を休みなく打ち続けた。「ありがたかったです。今日もポイントを前にして、へその前で打てたのでサードゴロにならなかったと思います」。今春の県大会後、右ふくらはぎに死球を受け5月から約1カ月半、離脱。メンバーが遠征している時も、グラウンドで黙々とランニングやウエートトレーニングを行いパワーアップに励んだ。地力強化と監督への恩返しが生んだアーチだった。

 攻撃の手を緩めることなく2回にも1点を追加。5回には先頭の磯網栄登内野手(3年)が初回に続きこの日2安打目となる中前打を放った。4試合で16打数11安打、打率は6割8分8厘。県大会準決勝前、打席で上体を少し揺らして脱力する今のフォームに変えた。「構えて入ることがなくなって良くなりました」。5つ上の長兄将人(しょうと)さんは10年夏に早実で甲子園に出場。3つ上の次兄遊斗さんは東海大相模で11年春のセンバツで優勝した。「甲子園を身近にしてくれた兄まであと1勝です」と笑った。

 昨年死去した東海大相模元監督の原貢氏(享年78)に続く、45年ぶりの夏全国制覇まであと1勝となった。門馬監督は、先月完成した恩師の石碑を磨き、「アグレッシブ・ベースボール」の思いを込めて聖地に入った。「おやじさんに見守られて戦いたい。いい報告がしたい」。胸に去来する思いを今日、グラウンドでぶつける。【和田美保】

 ◆東海大相模は準決勝無敗 東海大相模は春夏通算7度目の準決勝で負け知らず。準決勝で無傷の7連勝は最長記録。2位は駒大苫小牧、済美など4校の3連勝。

 ◆神奈川県勢の夏決勝 10年の東海大相模以来、5年ぶり10度目。過去の決勝は6勝3敗。