U18(18歳以下)アジア選手権(台湾)で日本優勝に貢献した広島新庄・堀瑞輝投手(3年)が、ダブルヘッダーでフル回転した。午前中の東邦(愛知)戦で毎回の14三振を奪い、5安打1失点で完投勝利。準決勝の聖光学院(福島)戦は7回1死三塁の同点ピンチで救援し、2回2/3を4奪三振無失点で1点リードを守り、「セーブ」を挙げた。1日で計11回2/3を8安打1失点、18奪三振の快投。今日5日の決勝はともに初優勝をかけ、エース寺島成輝(3年)を擁する履正社(大阪)と対戦する。

 ミズキとナルキの対決がフィナーレを飾る。アジアの頂点に立った高校日本代表の、名前で呼び合うチームメート。世代屈指の左腕が決勝に勝ち残った。

 広島新庄・堀は秋もタフだった。前日3日に降雨ノーゲームになり、この日に持ち越された準々決勝の東邦戦は無四球で14奪三振。9回2死二塁からの二塁打で完封こそ逃したが、相手の二刀流エース藤嶋健人(3年)を中飛に抑え、最後の打者にした。4回の藤嶋への3球目は球場表示で148キロ、テレビ局のスピードガンで150キロをマーク。「日本代表を経験して、自分の球に自信を持てるようになりました」と、勝ち試合を終えたのが午前10時57分。それから約4時間半後、球場のどよめきの中で堀は準決勝のマウンドに再び立った。

 聖光学院に1点差に追い上げられた7回、1死三塁で先発有村を救援した。2者連続三振でピンチを切り抜け、8回は147キロ速球で3球三振を奪った。「(登板は)またか…という感じで、疲れました。1日2試合の登板は初めてです」。計11回2/3、142球を投げて18奪三振の鉄腕ぶり。イニングまたぎもロング救援もこなしたU18アジア選手権での快投を、岩手で披露した。

 速球プラス空振りの取れるスライダー。阪神などが上位候補と注目してきたが、今では「最も早く1軍で使える高校生。外れ1位の可能性もある」と見る球団もある。寺島が競合必至の1位候補なら、堀は即戦力ではNO・1の左腕だ。寺島との比較には「ピンチで点を取られない気持ちは(自分の方が)強いかも」と答えた。最後も勝ってドラフトに向かう。【堀まどか】