今秋ドラフト1位候補の寺島成輝投手(3年)を擁する履正社(大阪)が、初の全国タイトルを手にした。決勝最多の14得点で広島新庄を圧倒し、国体初制覇。寺島は7回裏の代打で登場し、8、9回を1安打2奪三振無失点。U18(18歳以下)アジア選手権に続く頂点に立ち、全国V左腕として20日のドラフト会議を待つ。

 世代最後の優勝をさらって、寺島が高校野球生活を終えた。国体全4試合2桁安打の強力打線が援護。9回2死からの大飛球も、右翼の山本侑度(3年)が変わらない堅守で好捕。心強い仲間に支えられ、世代NO・1左腕は履正社初の全国大会優勝投手になった。

 「日本一なんでうれしいです。一緒にやってきた仲間と最後に勝てて良かった」。前日4日の準決勝の守備で負傷し、先発を外れた正捕手の井町大生(だい=3年)が最後はマスクをかぶった。「あまりそういうことは言わないんですが、井町が受けてくれてうれしかった」。甲子園3回戦敗退に号泣した女房役と、秋は笑い合えた。

 1年前の秋の公式戦は、エースと主将の両立に苦労していた。7失点完投でなんとか勝った試合後、「打たれている自分と、主将としてチームの先頭に立たなければならない自分とは切り離して考えるようにしていますが、実際はしんどいところもあります」と明かした。技術、人間力両面の成長を求められた3年間があり、パ・リーグ王者に輝いた日本ハムなどが1位候補に挙げる左腕になれた。「人として成長させていただいた。履正社に来て良かった」と、高校最後の勝利球を岡田龍生監督(55)に贈った。【堀まどか】