第89回選抜高校野球大会(19日開幕)に選手10人で出場する21世紀枠の不来方(こずかた、岩手)が14日、甲子園練習初日に登場した。今大会から規則が変わり、女子マネジャー3人に加え3月に卒業したばかりの野球部OB2人の力を借りてハツラツと練習した。与えられた30分間は主に課題の守備練習に充て、最後はエース兼4番打者の小比類巻圭汰主将(3年)が約20球ほど投げ込み、聖地のマウンドの感触を確かめた。

 ダグアウトを駆け上がると、目前には聖地の黒土と緑の芝が広がった。10人各自が1度打席でバットを構えると、その後は課題の守備練習に時間を割いた。最後の5分間を投球練習に充てた小比類巻は「実感がだんだんとわいてきた。テレビで見ている所でやれるのがスゴい。選んでくれた人たちに感謝したい」と興奮気味に振り返った。

 「野球は楽しくやるもの」。日頃から掲げるモットーを、甲子園練習でも存分に発揮した。積極的に声が飛びかい、時折笑い声も起こった。持ち味全開の30分間だった。ノックバットを振った小山健人監督(30)は「硬くはなかった。普段と同じようにできていた」と手応えを口にした。今大会から規則が変更になり、外野の人口芝部分でノックのボール渡し役を務めた女子マネジャーの越戸あかりさん(2年)も「緊張したけど、選手たちが楽しそうにやっていたので、私も楽しかった」と笑顔で話した。

 本番まで逆算して調整する。甲子園練習後の午後、兵庫・三木市内で行われた神港学園(兵庫)との練習試合では、3試合ぶりに4番で出場した小比類巻が右中間二塁打を2本放ち、2打点を挙げた。好調な打撃の一方で、3試合連続で登板を回避したが「練習試合は残り3つある。自分のペースで調整していく」と不敵に笑う。甲子園練習では、直球に変化球を織り交ぜ約20球投げ込んでおり「高さが合ってて投げやすかった。不安は何もない」と自信を見せた。【高橋洋平】