エースとして一昨年夏、32年ぶりに静岡商を甲子園に導き、昨夏も県準優勝の立役者となった大野健介投手(3年)が3日、同校の卒業式に出席した。生徒や保護者からサインや写真をせがまれ、テレビ局が取材に訪れるなど人気は健在。県をわかせ続けたアイドル左腕は、進学する早大でも1軍キャンプ帯同が決定し、式の後にはすぐさま沖縄へ旅立った。

 大野が汗と涙が染み込んだ思い出のグラウンドで、東京6大学での活躍を誓った。静商の卒業式に出席。「新たな門出という感じです。厳しい練習をずっとやってきた。そういうところを生かせればいい」と心境を語った。見城喜哉監督(47)からは、高校在学中に全国から学校に届いていたファンレターを渡された。大きな封筒3つに仕分けされ、中には約100通ずつ合計約300通。甲子園出場を逃した昨年も、手紙は届き続けていた。

 人気同様、野球の評価も高い。すでに2月1日から早大の練習に参加。1カ所打撃で「素晴らしい投球で打たれなかった」こともあり、今日4日から始まる沖縄キャンプ帯同が決まった。全国屈指の名門早大で、1年生では広陵・土生ら5人だけ、しかも投手は1人だけというエリート待遇。「沖縄から(春季リーグで)ベンチ入りするメンバーが多い。可能性が広がってきた」と、今後の見通しを語った。

 早大では、以前から関心を寄せていた斎藤佑樹投手(1年)とも交流を果たした。同ポジションだけに練習中に話す機会も多く「(06年に兵庫)国体の時やったよな」と声を掛けられた。対面した斎藤はクールではなく「面白い人」と印象を持ったという。

 キャンプ出発で多忙の中、後輩全員と握手を交わし、ベンチ前でメッセージを残した。「また来るので元気な姿を見せてください」。前日には同窓会から特別功労賞を受けた、ほほ笑み王子。中学2年から5年間を過ごした静岡から羽ばたいた。【斎藤直樹】